●愛と階級と人種について。たしかに存在する壁をどう乗り越えるか●
映画嵐が丘をアンドレヤアーノルドが主人公の出生元不明のヒークスリフを黒人の設定に置き変えて(解釈して)作った作品。もしかしてこっちが…
まず序盤の風が吹き荒れる丘へキャシーがヒースクリフを連れ出すシーンの完璧さ。ぶれっぶれの手持ち映像なのにぱちっときまった構図にもっていく撮り方が絶妙な心地をつくりだしている。
ヒースクリフのどこか…
ヒースクリフを黒人にしたことで差別構造をより明瞭にする…のは安易な策のようにも思うが、しかし視覚的にはこれがバッチリ決まっている。イギリスの寒々しい片田舎にいることの疎外感の表出が見事。
接写で強調…
各々の寄る辺なき想い、魂の彷徨。スタンダード内で人物造形と呼応する様にこれでもかと距離を詰めるカメラの存在は時に暴力的ではあるけど、その決意表明が終始胸をザワつかせる。
肝心のヒースクリフを黒人とす…
ブロンテの原作は読んでいないが、出自のわからないヒースクリフは解釈によっては黒人でもおかしくないという(ドラマ「ブリジャートン家」の元ネタか)。小説のあらすじを読む限りこの人物はかなり粗暴で冷酷な人…
>>続きを読む監督アンドレア・アーノルド。ヒースクリフを黒人俳優であるジェームズ・ハウソン/ソロモン・グレイヴが演じることによるざわめき。アーンショーの善行を支えていたキリスト教的価値観の暴力性が炙り出され(善は…
>>続きを読む間違いなく、今年のベスト。
『ノマドランド』同様、自然の描写が印象的な作品ではあったが、個人的には、ストーリー性・メッセージ性・映画技法など、断然、こちらの方が好みだった。
願わくば、本作が、映…
燃ゆる女の肖像を思い出す音への意識。
この時代は人がすぐ死ぬというのが分かる。
救われた魂は、時間が経っても同じ場所にあり続け、主人公の未来を塞ぎ消えた過去に囚われる。
ちょこちょこ変な場面があっ…
肌と肌、身体と大地、登場人物たちと周囲の世界との交わりが丁寧に描かれていて素晴らしかった。手触りのある映画。彼女たちは実直なまでに自らの感情を身体で表現し、時に全身で喜びに打ち震え、時に全身が砕けて…
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