イワシさんの映画レビュー・感想・評価

イワシ

イワシ

映画(3100)
ドラマ(7)
アニメ(0)

Eyeball(英題)(1975年製作の映画)

3.6

バルセロナのツアーで起きる眼球切除連続殺人。観光客に配布された赤いレインコートの殺人鬼が鮮烈。お化け屋敷での殺人シーンは、ナイフを振り下ろされる被害者の顔と醜い造形の人形とのモンタージュが強烈。この醜>>続きを読む

Seven Blood-Stained Orchids(英題)(1972年製作の映画)

3.5

ウンベルト・レンツィのジャーロ映画。2番目の被害者殺害の演出が良い。赤い絵具の涙が流れる自画像と首を絞められる女の見開かれた眼のクロースアップとの切り返し。自画像にそうしたように死体が絵具で汚され、首>>続きを読む

ゾンビライダー(1988年製作の映画)

3.5

スプリング・ブレイクのマイアミビーチに2ケツした人間を感電死させる処刑ライダー登場。でも全然ゾンビじゃないし、もはや感電どころか焼死。ボイラーから直接炎で焼き殺す場面は肉が溶け髑髏が見えるほど。浮かれ>>続きを読む

マジック・ボーイ(1982年製作の映画)

3.5

グリフィン・オニールが礼服を飾る服飾店の前に佇むショットがベスト。夜、人気の無い店先、ウィンドウで見栄えする白と黒の衣装、ガラスに反射する通りの反対側のクラブのネオンサインと濡れた路面。着飾ったマジシ>>続きを読む

ファニー・ページ(2022年製作の映画)

3.4

アップと切り返しが多めだけど、強烈な風貌と奇天烈な人格の登場人物を役名の有無にかかわらずバンバン登場させては放置させていくのは流石に面白い。裁判所のトイレで上半身裸で身体を洗うマシュー・マーのインパク>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.5

一場面を除きサミー・フレイと過去と遭遇しないのがアンゲロプロスとの違いか。劇中で言われるように想像で補った想起であるが故に、甘美な記憶の再現となる。顕著なのはアリエル・ドンバールの下着姿を鍵穴越しに覗>>続きを読む

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.3

ミシェル・ヴォワタの既視感はまるで忘却した過去の犯罪のフラッシュバックのようであり、一種のフィルム・ノワールとして観た。過去が現在に流入するにあたり実際に同一画面上で出来事が起こるのがむしろシュミット>>続きを読む

ロー・タイド(2019年製作の映画)

4.1

射的の場面でアレックス・ニューステッターがジェイデン・マーテルに告げる「片目で狙え」のアドバイスが、終盤で反復されるが台詞一つなくショットのみで提示される。葉巻、金貨、ギプス、拳銃といった細部の提示=>>続きを読む

火の娘たち(2023年製作の映画)

3.8

シネマスコープ三分割歌劇。トラッキング、フルショット、クロースアップによって捉えられる背景の流動、伏臥と起立、明滅という各画面の運動は、三者の異なる歌い出しのタイミングによってつねに視線の移行を強いら>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

ゴダール引用的なだるまさんがころんだのトラッキングは感心こそすれ驚きはなかったが、直後のリアウィンド越しのカメラの揺れと大美賀均の運転後も続くワンショットにはとても驚く。小坂竜士と渋谷采郁の車中会話場>>続きを読む

フィフィ・マルタンガル デジタル・レストア(2001年製作の映画)

3.6

ロジエの中ではイマイチだが十分面白い。バルコニー席から投げ入れられた帽子がカメラに向かって飛んでくるショットはその思わぬ運動に感動するし、そこからリディア・フェルドが無心に踊り続けるラストは劇/記録、>>続きを読む

メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

4.6

島に全員が集ってからがめちゃくちゃ面白い。イヴ・アフォンソに喧嘩をふっかけられたベルナール・メネズがカットが変わると一瞬で意気投合するのは予想できるけどやっぱり笑えるし、ピアノを求めて横一列で歩くショ>>続きを読む

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

5.0

大傑作。ピエール・リシャールがバランス崩し芸で要所要所笑う。よりグダグダな『アギーレ/神の怒り』的な森林踏破場面が最も好き。あの滝のダイナミズム!夜から朝(またはその逆)への光を存分にフィルムに残す贅>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

3.9

男女三人がギャラ不払いの映画製作者を追うためバカンスから自動車旅行に飛び出す以降が特に好き。ジャン=クロード・ミニエが波に打たれながら食事してるショットは堪らないし、座席の位置で移り変わる関係もスリリ>>続きを読む

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.0

コングとスーコが絆を深める場面は怪魚の肉を同じ仕草で並んで齧るという小津的怪獣映画。序盤で登場した放電する翼竜がクライマックスで再登場する展開は蓮實重彦が虚をつかれた『アバター』のスタンピードのようで>>続きを読む

エレニの帰郷(2008年製作の映画)

3.8

ブルーノ・ガンツ、イレーヌ・ジャコブ、ミシェル・ピコリが街を歩く場面が好き。背景に見えるクリスマスツリーの存在感がなんとも言えず好ましいし、駅の階段の踊り場を文字通り踊り場にする場面も素晴らしいしが、>>続きを読む

エレニの旅(2004年製作の映画)

4.4

バラック集落の線路の向こうにある〈白布の丘〉の光景の素晴らしさ。水辺のそばの文字通り白い布の群。そのはためきの向こうから楽隊のメンバーがめいめい楽器を奏でながら一人ひとり現れ、ついに布を抜けると水面と>>続きを読む

走れ走れ!救急車!(1976年製作の映画)

3.2

ピーター・イェーツの民間救急車映画。ビル・コスビーが患者斡旋の警官L・Q・ジョーンズに賄賂の値上げを要求される場面はまんま『ミッドナイト・ファミリー』。夜のシーンが多く、ブルース・デイヴィソンが散弾銃>>続きを読む

クレイジー・コップ 捜査はせん!(1995年製作の映画)

2.3

カメラに向かって銃を撃つ『大列車強盗』な間寛平のファーストショットからカットが変わると公衆便所の鏡を撃ちまくるフルショットにつながり、まさかの連続性に驚愕。常軌を逸した行動が説明もなく羅列される脚本は>>続きを読む

聖山(1926年製作の映画)

3.9

タイトルに反し波濤砕ける海辺の岩場でのレニ・リーフェンシュタールのダンスから始まる冒頭は実験映画的。波と官能的に戯れるヒロインとは対照的に彼女をめぐる二人の山男は雪と氷に苦しめられる。驚くのは後半の登>>続きを読む

Stranger on Horseback(原題)(1955年製作の映画)

4.0

ケヴィン・マッカーシー連行時のアクションが悉く良い。ジョエル・マクリーの殴る速さが凄まじいし、援護射撃したエミール・メイヤーの爽快な笑顔にもグッとくる。終盤、敵が並んで行手を阻みさらに後方からフレーム>>続きを読む

復讐のネイルガン・処刑ハンター(1985年製作の映画)

1.7

全く面白くないけど、ネイルガン連続殺人をする殺人鬼のこのビジュアルに本気で怖がってるのはマジで凄い。ホラー映画の殺人鬼は怖いという思い込みだけで真剣で映画を撮ってる。口を覆う手が釘付けされて悲鳴をあげ>>続きを読む

ホット・ロック(1971年製作の映画)

4.0

盗んだダイヤの行方を追ってどんどん侵入困難な場所に挑戦する泥棒たち。超面白い。博物館での警備員との追いかけっこは服装が同じなせいでスラップスティックだし、仲間の脱獄のために刑務所の全力疾走を捉えたロン>>続きを読む

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)

3.5

ョン・トルヴォルタの作業場面はどれも良い。ヒキガエル、梟、水中、自動車、女が揃う『狩人の夜』な録音風景や雑誌の切抜きのパラパラや撮影、音声素材にマークする作業(白文字のXがギューンと流れるあの俯瞰!)>>続きを読む

ザ・クルー(2015年製作の映画)

3.5

エンドクレジット抜きで実質77分。ギャングに強要された麻薬強奪の受け渡しからの反撃、カーチェイス、人質になった母親の救出、団地での銃撃戦とアクションが連鎖していく感覚が堪らない。母親の救出後、団地から>>続きを読む

シャドウ・オブ・ヴァンパイア(2000年製作の映画)

3.3

マークし忘れ。本物の吸血鬼を雇って『吸血鬼ノスフェラトゥ』を撮るムルナウの映画という、これだけで勝ったも同然みたいな設定の割にはイマイチ盛り上がらないけど、それでもまあまあ面白い。とはいえ、被写体であ>>続きを読む

フランス特殊部隊 GIGN(ジェイジェン) 〜エールフランス8969便ハイジャック事件〜(2010年製作の映画)

3.5

GIGNの突入は終盤。序盤はハイジャックの報を受けたメラニー・ベルニエら外務省職員が階段を降りながら報告を行う場面の編集はほぼ活劇。突入後のコックピットと通路の仰向け姿勢の近距離銃撃戦は新鮮。コックピ>>続きを読む

インストーラー(2007年製作の映画)

3.3

SF映画だけど、刑事アクションの方に気合いを入れてる。冒頭の銃撃戦の縦構図はCGが目立つものの、中盤の犯人を追うワンカットら俯瞰から前方に回り込むカメラワークが凄いし、相棒を人質にとられた狭い勾留室の>>続きを読む

チャイム(2024年製作の映画)

3.5

割と良かった。吉岡睦雄がシャベル片手に橋を渡る場面のロングショットのワンカットが素晴らしい(カット冒頭のガードレール下から道路へのシャベル放擲も)。疲弊した身体を引き摺るように歩く姿が徐々に背筋が伸び>>続きを読む

マイ・ライフ(1978年製作の映画)

3.8

ダイエット目的から走ることそのものの楽しさに目覚めるジョアン・ウッドワード。TVMだからか切り返しが多めだが、役者を信頼し切ったカメラが捉える演者の表情の良さが心地よい。荷物を抱えた足取り重い移動がい>>続きを読む

絶頂姉妹 堕ちる(1982年製作の映画)

3.5

江崎和代が中丸信をナイフで突き刺すとマンションのドアが開き、東京のビルの夜景が画面に広がるショットが素晴らしい。もう2度とそこに辿り着けないと定まった瞬間にその世界が現れ、裸=真実の姿の江崎が中丸諸共>>続きを読む

モヒカン族の最後(1920年製作の映画)

3.0

極端なロングショットで捉えられる急峻な岩崖の上で繰り広げられるアクションは、風景と比べて人間があまりに小さいため敵味方の判別がつかず、勝敗の行方よりその場所で撮っているという事実に圧倒される。そしてそ>>続きを読む

ナイト・オブ・ザ・コメット(1984年製作の映画)

3.7

彗星通過による人間蒸発とゾンビ発生をサバイバルするキャサリン・メアリー・スチュアートとケリー・マロニーの姉妹。赤い無人のロスを映し続ける場面が超好きだし、姉妹二人のとにかく遊ぶか!みたいな態度も最高。>>続きを読む

ジェシカ/超次元からの侵略(1984年製作の映画)

3.3

ウェス・クレイヴンのTVM。郊外舞台のボディスナッチャーもの。ロバート・ユーリックが自身が開発した宇宙服に身を包み、副題にある超次元へ向かうクライマックスが面白い。宇宙服でサバービアを走るビジュアルも>>続きを読む

どこまでもいこう(1999年製作の映画)

5.0

超絶大傑作。オールタイムベスト。鈴木雄作と水野真吾の身長差がまず素晴らしいし、性格の違いを冒頭のヤクルト盗難のアクションで見せるのも最高。箱から盗むか、箱ごと盗むか。ひたすらただ活劇たらんとし走りまく>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.8

フォン・エリック一家の映画であり厳密にはプロレス映画ではない。勿論、それは意図的なものであり作品の瑕疵ではない。『カリフォルニア・ドールズ』や『パラダイス・アレイ』、『レスラー』と異なり終盤に試合が配>>続きを読む

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