イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

イワシ

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キラー・ホビー/オモチャが殺しにやって来る(1991年製作の映画)

3.4

ウィリアム・ソーンのセックスと殺害目撃が普通に不憫。トラウマを刺激するような2度目のベッドシーン目撃と再会した両親のセックスのクロスカッティングは過剰なエロの見世物で辟易してたら最後のアレで納得。嫌悪>>続きを読む

アメリカン・スプレンダー(2003年製作の映画)

3.5

ロバート・クラムも作画を担当したコミックの映画化(アラン・ムーアも作画したことあってビビる)。ハービー・ピーカー本人のボイスオーバーはおろかインタビューが挿入されたり演者と本人が同一画面に同居したりと>>続きを読む

アートスクール・コンフィデンシャル(2006年製作の映画)

3.5

マックス・ミンゲラが徹底して報われない。ソフィア・マイルズを感動させた絵は結局失われ、罪と栄光が仮初だと明らかになるのも時間の問題(そしてそれはミンゲラの死の後にやってくるだろう)。何ひとつ良いところ>>続きを読む

クラム(1994年製作の映画)

3.5

マクソン・クラムが上に投げた金色の物体をキャッチした次のカットの手のアップで銃弾だと分かった瞬間の恐怖。ロバートよりも精神的に荒廃している兄と弟が映る場面は全部ヤバい。ユスターシュ『不愉快な話』と遜色>>続きを読む

BACK TRACK バックトラック(1989年製作の映画)

4.0

デニス・ホッパー再編集版。ラヴァーズ・オン・ザ・ランのアクションの見事な充実。自動車を追うセスナ機(上空を通過したら次のカットで着陸しているあの性急なつなぎ!)、ヘリで逃亡したら追手のヘリがフレーム・>>続きを読む

ハートに火をつけて(1989年製作の映画)

4.0

アラン・スミシー≠デニス・ホッパー。製油所爆発のラストが恋人たちのハッピーエンドに至る点は、連想する犯罪映画(『白熱』『拳銃の報酬』、そして『アウト・オブ・ブルー』)に接近しつつも遠く離れて、それが無>>続きを読む

パレルモ・シューティング(2008年製作の映画)

3.8

ロイド/ジャッキー的な冒頭の落下だが、最も大きな参照項は自作『ベルリン・天使の詩』だろう。デニス・ホッパーの死神=天使、落下と仰角、見上げる/見下ろす。しかし、最も充実したシークエンスは深夜から夜明け>>続きを読む

“BLOW THE NIGHT!” 夜をぶっとばせ(1983年製作の映画)

4.0

教室を拒否する/される非行少女の映画なのでカメラは当然廊下を映し、必然的にロングショットの縦構図が多くを占める。暴動の予感をひしひしと募らせる廊下はサミュエル・フラーのストリートの系譜。暴動の終結の場>>続きを読む

石の微笑(2004年製作の映画)

4.7

再見。傑作すぎてビビる。ブノワ・マジメルが隠匿する石像を何度も取り出すことが象徴するように奇妙な存在感を放つ背景の人物(ローラ・スメットもその一員)が停止から始動するまでの映画。レストランの従業員の異>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.4

ボクシングの動きが導入された冒頭のアクションシークエンスが最も興味深く見れた。マ・ドンソクの巨体がなめらかかつ機敏に前進していく様子は『イップ・マン 継承』のマイク・タイソンを彷彿。お話はチョコラータ>>続きを読む

V/H/S/85(原題)(2023年製作の映画)

3.5

スコット・デリクソン監督パートの冒頭、階段をライトで照らす殺人鬼の主観ショットとベッドルームの猟奇死体はマン『刑事グラハム/凍りついた欲望』のそれか。あの映画も撮る/見ることと殺害が分かち難く結びつい>>続きを読む

博多っ子純情(1978年製作の映画)

4.0

銭湯の場面で死ぬほど笑った。若いというかほんとに子どもの光石研も、ふとした瞬間から光石研にしか見えない(あたりまえか)。たまに菅田将暉に見えるので青山真治が『共喰い』で父子にキャスティングしたのにも1>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.6

典型的なラスト・ミニッツ・レスキューを相対化する赤外線カメラによる俯瞰視点で見せつけられるタリバン兵の一方的な殺害。色彩と劇伴が遠のき、銃声と交信音声のみの無機質なワンカットはダール・サリムを見上げる>>続きを読む

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

3.5

閉鎖空間での狙撃者との交信で連想したのは『フォーン・ブース』。それなりに楽しめたが、シルヴァー(というかラリー・コーエンの脚本)や北村『ダウンレンジ』には及ばず。ただ、一夜ものとしてはラストの半分開い>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

3.4

12枚目の写真に書き付けられた文章「カルネやデ・パルマの作品とは一線を画する」に感動。遺言でもあり予告編でもあるこの映画は、現在においてもカルネとデ・パルマをともに乗り越えるべき基準として未来に告げる>>続きを読む

世界の果てへの旅(1975年製作の映画)

3.5

お揃いの赤ニット帽が映画では初登場。気球の乗員と氷の上のアザラシとの切り返しのむちゃくちゃさが良い。

沈黙の世界(1956年製作の映画)

3.5

マッコウクジラのスクリュー事故の場面は完全にゴア映画。青い青い海に広がる血の赤さにビビる。ライフルによる安楽死で潮吹きの如く噴射する血とそれに引き寄せられ鯨の死骸を喰い散らかす鮫の群れ。その光景に怒り>>続きを読む

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.8

84分の切り詰められたランタイムをリアルタイム(アトラクション?)化する主観長回し。フラッシュバック、360°パン、再びの現在時まで貫く主観。因縁/連載の過去を振り切る時間の中で冒頭のパンダウンが反復>>続きを読む

劇場版 とっとこハム太郎 はむはむぱらだいちゅ! ハム太郎とふしぎのオニの絵本塔(2004年製作の映画)

3.6

犬役を演じるロコちゃんに触発されたハム太郎がロコちゃんの部屋から地下ハウスへ疾走するカット繋ぎの驚くべき速さ。あややムが書いた絵本の言葉を本人に伝えるハム太郎に前作のハムクック船長を重ねてしまう。

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!(2003年製作の映画)

4.0

レースの声援とラストの祈りを接続する話運びに脱帽。ハム太郎への妨害行為は明確に声援/祈りの対極に位置する行為であるが故にハムクック船長はみずから退き餞の言葉を送る。この場面の画面分割はクライマックスの>>続きを読む

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムハムージャ!幻のプリンセス(2002年製作の映画)

4.0

シェーラ姫の涙から始まり、サバクーニャからの逃走(水中から捉えた水面下に沈む車のカット!)、オルゴールに貯まるメエメエの涙、解決後の地下牢ダッシュなど落下/下降運動が描かれ続けたラストに涙を堪えるハム>>続きを読む

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険(2001年製作の映画)

4.4

クライマックスのハム太郎とロコちゃんとの再会。夜、雪、通過する電車の灯と細部だけ見れば三宅唱あたりを連想しそうだが、存在が放つ微細な震えをショットに捉える三宅と異なり、運動と感情の極点を描くためにそれ>>続きを読む

バンパイアの惑星(1965年製作の映画)

3.4

巨人の宇宙船に乗り込む場面が最高。あとやっぱり死体を包む透明のビニールか。起き上がり、風に靡いてバサバサする感じが良すぎ。

死体と遊ぶな子どもたち(1972年製作の映画)

2.5

1時間ぐらい小劇団の益体の無い話がずっーと続いてゾンビ登場。そこからの演出も特に秀でたものではなかったけど、階段に逃げたアラン・オームズビーが咄嗟に仲間を突き飛ばしてしまう場面は良かった。突き飛ばした>>続きを読む

悪魔の虚像/ドッペルゲンガー(1970年製作の映画)

3.8

面白かった。心電図の波形が二つに増えるというあまりにも直裁な分裂描写が良い。序盤でロジャー・ムーアが家中の灯を消す場面が、クライマックスの分身との対面シーンで分身が灯りを点けるかたちで変奏されるなど、>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.0

そりゃカフカの名前が出るよなーとなるラスト、個人的には『バード★シット』を連想。想定していたよりも規模の小さい爆発に少し笑う。

ツイステッド・ナーブ 密室の恐怖実験(1968年製作の映画)

3.7

面白かったが副題はフツーに嘘。ハイウェル・ベネットが安楽椅子を揺らして義父の写真をグシャグシャに潰している場面からいきなり不穏。ビリー・ホワイトロー殺害後の電話のシーン、縦構図とフレーム内フレームの使>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

アナ・トレントが見つめるホセ・コロナドの足の裏。エスタブリッシングショットまたはフルショットによる空間の提示、着席からのバストショットの切り返しと躊躇なきクロースアップの挿入。着々と向き合う二人を撮り>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

栗田科学内部の構造とカメラ位置の良さ。縦構図に収まるデスクとガラス張りの休憩室の暗さと明るさ。日曜日に出勤した松村北斗と上白石萌音がある種の気ままさを発揮しながら別行動をとるとき、この構図がはじめて発>>続きを読む

ザ・ホール(2009年製作の映画)

3.8

穴を発見してからの恐怖演出が本当に怖い。ヘイリー・ベネットがトイレで怪異に見舞われる場面では泣き声に導かれ、ドアの隙間から小さな足と垂れた血を目撃した次の瞬間に停電、事態の不透明さがサスペンスとなる。>>続きを読む

Citizens Band(原題)(1977年製作の映画)

4.1

ラスト5分にボロボロに泣かされた。

電波のもつれを解こうと奔走するポール・ル・マットを主軸にした地方都市が舞台の群像劇。電波の混線が人々の出会いとなり混乱と騒動を生むが、解消されたときにカメラが捉え
>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.6

パフォーマンスが素晴らしいのは言うまでもないが、ともするとそれとは無関係なクリス・フランツやスティーヴ・スケールズの曲と曲の合間にみせる移動と跳躍を捉えたカメラと跳躍を発見し挿入した編集、最終的にそれ>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.6

冒頭からポール・ダノがライブ配信を開始するまでひたすら走る場面が続くが、配信直前に普段着のままだったことに気づいたダノが隣室から猫シャツと赤い鉢巻を取って戻るという往復の運動がこの映画の基本のリズム。>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.5

回想の中のパトリツィア・テレーノと現在のドミツィアーノ・ジョルダーノのアクションつなぎのようなマッチカットに眼が冴える。ジョルダーノの金髪の翻りはほとんど『カリフォルニア・ドールズ』のローレン・ランド>>続きを読む