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聖者たちの食卓のSのレビュー・感想・評価

聖者たちの食卓(2011年製作の映画)
3.7
食べるって果てしない行為だな
生きることの圧が押し寄せてくる映像
インドの人の圧がすごい

毎日10万人の食事を作る無私(セーワー)の奉仕は、常連さん?だけでなく巡礼者も参加できるっぽくて、楽し気に働く人、うんざり疲れてる人、玉ねぎが目にしみてる人…。
カメラを向けるとニヤニヤ嬉しそうな人もいれば、あの独特の撮ってんじゃねーよ的凝視の人。色々いる。

作物を収穫する、水を運ぶなど、全てが手作業で果てしない労働だなと思うけど、作業工程がとてもシステマティックかつ水でしっかり全てを洗い流すなど清潔で(インド比)

そこに、“食べる”“与える”という行為、修行の実践が、何百年と積み重ねられてきたからこその、洗練された動きや重みがある。

正直、食事を待つ人の行列が押し寄せてくる感じ、5000人もの人が一度に食事をする風景は私としては“神聖”というより、生きるエネルギー、混沌というか“生”に溢れていて。
でも、その食べるという日常的な行為のなかに、カースト制度、宗教、性差、人種の壁を持ち込まないことがいかに難しいことなのか、いかにこの場所が奇跡的で神聖なのかは分かる。

むし暑そうで、ハエはぶんぶん、人の体臭や作物・土の臭いを感じるような映像、大鍋を洗う水が隣の調理中のカレー鍋に入っていたり、お皿を洗う真っ黒なすすぎ水に、おお!インド!と感じたけど

生きるということは、人生ということは、作物に感謝して料理し、食べること。それを人に分け与えることなんだな、そこに大切に向き合わなくてはと考えさせられた。
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