似太郎

ねこぢる草の似太郎のレビュー・感想・評価

ねこぢる草(2000年製作の映画)
4.6
【夏に似た夜🌙】

これは思わぬ拾い物だった。短編ダーク・ファンタジーアニメ。🙀

ガロ系漫画家として君臨する「ねこぢる」氏の原作を『機動戦艦ナデシコ』の佐藤竜雄監督と作画監督&脚本に湯浅政明が参加した異形のシュルレアリスム作品。

なんの脈絡もなくストーリーが進行するのだが、主人公である姉弟猫が全く可愛げがなく残忍。
いきなり殺したり、殴ったり、食べたり…。

終始アンモラルな雰囲気でありながらどこか間抜けな雰囲気もあり湯浅政明らしくコメディタッチな感じがイイ。アニメらしい躍動感があり観ていて退屈しない不思議な魅力がある。

現実と虚構の狭間を絶えず往来する姉弟猫の一種のビルドゥングス・ロマンであり【心の旅】が描かれた詩的な短編アニメだった。非常に深いテーマを持った作品のように感じる。

日本のアニメの枠から大きく外れた作品のようにも感じるが、ヤン・シュヴァンクマイエルやブラザーズ・クエイほどぶっ飛んでいないので風変わりな娯楽としても楽しめるお得なOVAである。

やはりガロ系漫画家ならではのビンボー臭い昭和テイストが根底にあり、トリッピーな世界観がクセになる作品。不条理系がお好きな方や猫🐱好きの貴方には是非ともオススメなファンタジックな逸品。
似太郎

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