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天才スピヴェットのBOBのレビュー・感想・評価

天才スピヴェット(2013年製作の映画)
3.8
ジャン=ピエール・ジュネ監督のジュブナイル・ロード・ムービー。

モンタナの牧場で暮らす、カウボーイの父親と昆虫学者の母親の元に生まれた10歳の天才少年T.Sが、スミソニアン協会で行われる授賞式に出席するため、大陸横断の一人旅に出る。

"The amazing thing about water drops is that they always take the path of least resistance. For humans it's exactly the opposite."

チャーミングでハートウォーミング。これまでに鑑賞した5つのジュネ作品の中で一番好きかもしれない。ビジュアル重視だった初期作『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』より、ジュネ監督のユニークな世界観を堪能できる上に、心に響くストーリーもある『アメリ』や本作の方が好みだ。

弟の死に人一倍責任感と罪悪感を覚えている孤独な天才科学少年が、その個性豊かな家族とともに、家族の喪失を乗り越える物語。天才少年を"金のなる木"として最大限利用しようとする大人たちに対する社会風刺もあった。

ジュネ監督らしいユニークな世界観が楽しい。今回は天才科学少年スピヴェットの脳内を映像化している。作り笑いの科学的分析シーンが可笑しい。遊び心溢れるお洒落なエンドクレジットも好き。

モンタナ〜シカゴ〜ワシントンD.Cの大陸横断一人旅。息を呑むような美しいアメリカの風景が映される。

行く先々で、T.Sのアメリカ横断の旅を手助けしてくれるキャラクター達が良い味を出している。特に、ジュネ作品常連のドミニク・ピノン扮する放浪おじさんが陽気で楽しい。

貨物列車に載ったキャンピングカーに隠れ、看板の一部になりきるシーンは笑った。

おねしょを掛けられて、灯りが消えるジャコランタン🎃が可愛い。

"Mediocrity is a fungus of the mind."

"Only two things are infinite: the universe and human stupidity and I'm not sure about the former - Albert Einstein"

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