本好きなおじぃ

インセプションの本好きなおじぃのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
3.9
クリストファー・ノーラン監督と俳優・レオナルドディカプリオの共演作。

ある部屋で、サイトーとコブ、コブの相棒のアーサーはアイディアはどんどん広がる、ということについて議論する。ところがその場所で妻と出会う。
サイトーの目線から推測し、重要書類がその部屋にあると気づいたアーサーは盗もうとするが、サイトーに見つかってしまい銃撃。仕方なくアーサーの足を打ち抜くコブ、実はそこはアーサーの夢の中に入り込んでいて、目を覚ますとそこは暴動の起こっている街中の一室。そこではコブがサイトーを脅して情報を聞き出そうとするが、失敗。そこで目を覚ますと、実はそれも夢の中で、新幹線・のぞみ号にいた。コブとアーサー、ナッシュはそこから逃げ出す。

その後、逃げるように海外に移動しようとするコブとアーサーだったが、サイトーに見つかる。なんでも、夢の中で記憶を植え付ける「インセプション」ができるかどうかをコブに尋ねる。コブは記憶を抜き出す「エクストラクト」、産業スパイだったのだ。コブはインセプションができるかは明言しなかったが、家族のもとに帰りたかったが帰れなかったコブは、そのことを条件に仕事を受ける。
サイトーの要請は、フィッシャーの会社をつぶすこと。そのためには間もなく亡くなる父親の会社を、息子・ロバートがつぶそうと思うことだった。そのために、数々の仲間を集める。
あるとき、設計師のアリアドネがコブの夢に潜ったとき、妻のモルが襲いかかってくる。コブの妻は実は死んでいたはずだが・・・?



クリストファー・ノーラン監督の魅せる時間旅行は、いつでも刺激的だ。
2010年に公開された今作は、人間の「夢」を軸に人々が自由に移動する。

その後の作にも影響していると思われるのは、ある夢での重力や天候などの影響で、そこの夢からさらに深い階層の夢に入ったとき、そちらにも影響し、まったく関係ないところで無重力や天候の影響を受けるということ。
無重力状態のホテルで縦横無尽に動くアーサーの姿がとても印象的だ。

人の夢に影響して記憶まで操作してしまうのは、SFの世界ではよくあることだが、誰かの夢をほかのメンバーと共有する、というのは少し発想が新しいようにも感じる。実際に劇中で使われる機械が開発されることもありうるのかもしれない、と思わせるし、夢の中の世界のもろさや発想の自由さも、私たちが普段の夢で感じることだ。夢の中で、誰でも好きなように世界を作ることができる。そして自分の記憶を再現することも可能だ。思わず没入してしまうだろう。

コブはその自由さを生かした仕事もしながら、そのもろさや危険も含めて知っていて、それでもなお仕事に挑戦しようとする。それは、コブが妻と見続けた夢に立ち向かうためでもあったのかもしれないし、自らの生活を取り戻すという夢を追いかけるためだったからなのかもしれない。