てつこてつ

赤い指のてつこてつのレビュー・感想・評価

赤い指(2010年製作の映画)
3.3
東野圭吾の原作は未読。

先にシリーズ最後にあたる映画「祈りの幕が下りる時」を見てどこか感じた2時間ドラマっぽさは、元々は連続ドラマが先にあったからだと知って納得。

この「赤い指」もスペシャルドラマとして放送されたコンテンツ。阿部寛演じる刑事・加賀恭一郎が日本橋署に移籍する2年前、練馬西署在籍中に起きた少女殺人遺体放棄事件をベースに、加害者家族の人物像に高齢化社会、少年犯罪の急増や家族崩壊が進む現代日本が抱える闇のテーマを上手く落とし込んでいる。

劇場版として製作された「祈りの幕が下りる時」と比較してしまうと、地方ロケも無く、製作費の関係などで、どうしても2時間ドラマをなりの完成度にしかなっていないのは致し方ない。

それでも、阿部寛が演じる加賀恭一郎というキャラクターは魅力的だし、溝端淳平の初々しさも悪くない。何と言っても、家族を必死で守ろうとする父親を演じた杉本哲太が上手い。山田太一脚本の「想い出づくり。」「ふぞろいの林檎たち」といった往年の大ヒットドラマで名バイプレーヤーを務めた、2019年に他界された佐々木すみ江さんの演技も光っている。

ただ、このストーリーの展開自体は、ちょっと余りにも出来すぎているし、若干の説教臭さ・・押しつけがましさが気になる。ここぞとばかりに盛り上げようとする音楽の使い方もあまり好きではない。
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