Sari

掟によってのSariのレビュー・感想・評価

掟によって(1926年製作の映画)
3.8
2013年「レフ・クレショフ傑作選」にて上映されたサイレント映画。
ジャック・ロンドンの原作「思いもかけぬこと」をダイナミックな風景で映画化したサスペンスドラマ。クレショフ工房 第三回作品。

レフ・クレショフは、ロシア革命直後のソビエトにおいて世界初の映画大学の教授となり、「クレショフ効果」と言われるモンタージュ理論で歴史に名を刻んだ、モンタージュ理論の先駆者でセルゲイ・M・エイゼンシュテイン等を育て、ヒッチコックやあらゆる現代の映画人に影響を与えた。

ゴールドラッシュにひかれて、アラスカのユーコン河畔にやってきた男4人と女1人の一行。苦労の末に鉱脈を発見したデニンは、他の仲間から馬鹿にされていると思い込んで、2人を殺してしまう。なんとか彼を取りおさえたハンスとエディス夫妻は、デニスを法的に裁こうとするのだが、川の氾濫は彼らを小さな小屋に閉じ込める。

ロシア・フォルマリズムの代表的な人物で作家ヴィクトル・シクロフスキーが脚本を担当したサスペンスで、クレショフが最高傑作と自負するだけあり、スリリングな展開と緊迫感のある映像に引き込まれる。

サイレント映画は、オーバーなまでのジェスチャー的演技、顔芸がものをいうのだろう。クローズアップで捉えられた、クレショフの妻であるアレクサンドラ・コフローヴァの目玉を剥いた怪演は見どころ。
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