Sari

欲望の翼のSariのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
3.8
各国の映画祭でセンセーションを巻き起こし、世界的な注目を浴びるきっかけとなったウォン・カーウァイの長編第二作。

60年代の香港を舞台に、レスリー・チャン演じるヨディを中心に交錯する若者たちのそれぞれの運命と恋。やがて彼らの醒めない夢は、目にもとまらぬスピードで加速する青春群像劇。

「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」
ヨディ(レスリー・チャン)はサッカー場の売り子スー(マギー・チャン)にそう話しかける。ふたりは恋仲となるも、ある日ヨディはスーのもとを去る。彼は実の母親を知らず、そのことが心に影を落とし、日々の生活を持て余していた。ナイトクラブのダンサー、ミミ(カリーナ・ラウ)と一夜を過ごすヨディ。部屋を出たミミはヨディの親友サブ(ジャッキー・チュン)と出くわし、サブはひと目で彼女に恋をする。スーはヨディのことが忘れられず夜ごと彼の部屋へと足を向け、夜間巡回中の警官タイド(アンディ・ラウ)はそんな彼女に想いを寄せる…。

それまでの香港映画と一線を画す、浮遊感と疾走感の入り混じる語り口と映像美。当時「香港映画史上最初で最後」と言われたほどに豪華な、6人のトップスターを起用したキャスティング。そして時制/数字へのこだわりや印象的な音楽はウォン・カーウァイ監督独特のスタイルが確立された原点と言え、実際に本作のモチーフは名作『花様年華』、そして『2046』へと引き継がれた。
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