荒野の狼

プラトニック・セックスの荒野の狼のレビュー・感想・評価

プラトニック・セックス(2001年製作の映画)
5.0
2008年の暮れに若くして急死した飯島愛の原作の映画化。冒頭は飯島愛がモデルの主人公(加賀美早紀)が投身自殺を計ろうとしますが、オダギリジョーからの間違いのメールのためにタイミングを逸して自殺を思い止まるところから映画は始まります。その内容が“愛へ。僕は君がただ生きていてくれることがうれしいです。生まれてくれて感謝です。”おそらく、この携帯のメッセージだけで飯島愛を少しでも知る視聴者ならば涙してしまいます。
その後は、オダギリとの切なく美しいプラトニックラブが描かれます。レイプ・援助交際・アダルトビデオ・自殺・いじめがストーリーに組み込まれているため暗い映画と思われがちですが、こうした内容を扱った映画にありがちな陰惨さはみじんもなく後味は爽やかです。かといって、これらを肯定した内容には決してなっておらず、落ちていく主人公の姿から視聴者の青少年が学ぶことは大きいと思われます。
15才未満は見られない指定ですが、主演の加賀美自身が当時16才でセミヌードにしかなっておらず、性描写も極めて穏当なため、むしろ中高生に見て欲しい作品です。人工流産・自殺などを通して命の大切さが語られ、飯島愛が急死した今、そのメッセージは悲しいことですが強くなっています。飯島愛本人がどの程度、本作品に関わったかは議論のあるところのようですが、飯島愛なくしては存在し得なかった映画ですので、飯島愛がこの世に“生まれてくれて感謝”したい思いにさせる名作です。
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