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クスクス粒の秘密のjamのレビュー・感想・評価

クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)
3.8
愛は日々育むもの
匙加減を誤らないように努力しなきゃね


舞台はフランスの港町
チュニジア系移民のスリマーヌがリストラを機に船上レストランを開くために奮闘するお話

レストランのメイン料理はクスクス
日本でも最近はメジャーとまではいかなくとも聞いたことくらいはあるのでは?
実はスリマーヌの別れた妻の得意料理
彼の息子、娘たちのみならず移民コミュニティでは日曜日の会食の目玉となる

ボラを手土産に訪れたスリマーヌに
「たまにはお菓子でも買ってきて」と元妻はつれない
それというのも、彼には新たな恋人がいて、その恋人と娘の営むホテルに下宿する立場であることを知っているから…


船の修理工場をリストラされ
結局は元妻の料理をあてにして
船上レストランの経営に乗り出す
資金繰り、認可を得る目的で
フランス人達を招待してのプレオープン
まさかのクスクスが届かないアクシデントの原因、
そしてその対処にあたる人たち、
それぞれの焦りや苛立ち
狭いコミュニティの澱のような人間関係…

なんとか場を繋ごうと
恋人の娘が捨て身で踊るダンス
彼女の汗やそこだけが違う生き物みたいなお腹のうねりが目に焼き付く


異常事態は全て
"呪いの目"のせい

そう言って笑い飛ばすには
スリマーヌに起こる出来事は軽くはなくて

これが人生よ
悠々とホームレスにクスクスを配る元妻の度量の大きさばかりに


さあ
美味しい野菜とソース、魚料理とクスクス
食べる前の合言葉は

"ビスメラ"
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