アー君

アンチヴァイラルのアー君のレビュー・感想・評価

アンチヴァイラル(2012年製作の映画)
3.0
鑑賞後の感想としては、何を撮っても父親(デヴィッド・クローネンバーグ)と比較されて批判をされる覚悟がある事をこの映画から読み取ることができた。

著名な監督の息子が同じ職業として世に出たわけだが、個人的な見解ではあるが “親の七光り” という感じもなく、親父の遺伝子を引き継いでいるとは思わなかった。

例えば「ビデオドローム」や「裸のランチ」にしても身体性を哲学的に描いているが、ブランドンの場合は物質レベルで他者との距離間を呪物的(フェティッシュ)に捉えている感じがした。

端末機械と肉体の融合シーンは如何にもソレらしいかもしれないが、サービスとして故意に真似をしている感じがして、過去作品に対して挑発している感じがした。

気になったのは、大まかなあらすじを情報として鑑賞前に入れてないと、状況が映像だけでは説得力が弱く、主人公であるシドは始終何をしたかったのかが分からずじまいだった。
著名人の感染したウイルス接種や肉体の売買などブラックユーモアがあり面白いかもしれないが、営利企業として無理があり、話に着いて行けず走り過ぎている感じがした。

総合評価は最初の長編映画としては頑張ったとは思うが、良くも悪くも今後についての反省点は本人が一番理解しているのではないかと思う。

[Stranger 16:00〜]
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