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5月の後
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『5月の後』に投稿された感想・評価

3104

3104の感想・評価

3.8
94年公開の「冷たい水」の続編的作品。

“的”と書いたのは直接の続編にはあたらないから。
確かに両作品とも70年代初頭が舞台で、主人公の男女の名はジルとクリスティーヌだ。しかしこのジルとクリスティーヌは同じ2人であるが同じ2人ではない。「記号」のような存在に落とし込まれている。

タイトルの5月とはフランスで1968年に起こった5月革命のこと。そのあとの世代、「政治の季節」の真ん中に間に合わなかった学生達の移ろいが描かれる。

「冷たい水」では同様の若き登場人物達、そして物語全体が繊細で不安定な描かれ方をしていたが、監督自身も年齢とキャリアを重ねたせいか、今作では(自伝的作品でありながら)どこか距離を置いた、傍観者的(冷めたとも)な視点で物語が紡がれる。
といってもこれは「パワー不足」「瑞々しさがなくなった」という批判~確かにそういう面もあるが~ではなく、ひとつの作品としてとても観やすいように「こなれている」とプラスに捉える部分であろう。

距離を置いた筆致の中で、ままならぬ運命や意志に流され、時に自分で道を選びそして次第に変わっていく登場人物達の姿が象徴的。

激しく行動しそして現実とぶつかり合う前半部と、各々の道を辿る(辿らざるを得なかった)後半部の対比がやるせない。ジルの苦々しくもある「変われなかった(not enough)」という科白がそれを端的に表している。

前作もロキシー、ジャニス・ジョップリン、ドノヴァンなど当時のミュージシャンの楽曲がいくつも流れたが、今作ではシド・バレット、ソフト・マシーン(劇中の科白にも登場)、ケヴィン・エアーズ、タンジェリン・ドリームなどより先鋭的なチョイスになり、使い方もより効果的になっている。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.8
【結局、社会のレールに乗ってしまうのさ】
MUBIにオリヴィエ・アサイヤスの『5月の後』が来ていました。1960年代、学園闘争は世界各地で発生していた。そして70年代になると、結局大人や社会によって潰され、「暴力で世界は変えられない」と悟ったのか若者はそれぞれの道を歩み始め、運動は下火になっていった。そんな70年代前半、運動にのめり込んでしまった者のイタさを描いた青春映画だ。その前に、5時間30分にも及ぶテロリストの活躍を描いた『カルロス』を撮ったアサイヤス監督が少し肩の力を抜いて作った、暴力の内側に入ろうとして外側に押し出される者による青春の蹉跌。これがとても面白かった。

後者の前で新聞を配り、運動を行う場所を告げる。次の場面で、若者が武器を持って、街を暴れまわるのだが、角を曲がった途端、軍が待ち構えている。情報が漏れているようだ。あっさりと反撃され敗北してしまう。

このシークエンスだけで、本作は群としての若者が社会によって個に分解されていく話だと分かる。青春映画の特徴として、学校や学生という一つのベクトルに向かって群が動く共同体の終焉で、個がそれぞれの道を歩み始める際の切なさがある。イタリアの叙事詩映画『輝ける青春』もそんな映画であった。本作は、5月革命に出遅れた者のイタさを描いた話であるが、本質は普遍的切なさを捉えている。

夜の校舎に忍び込んで、スプレーで落書きをしたり、ビラをぶちまける。それがバレて夜な夜な追いかけられる。そのシーンの一体感、躍動感がこの映画のピークであり、その後は運動の外側で仕事をしたりしながら、政治的なことを語りつつも社会システムに取り込まれていくもどかしさが描かれていく。

彼らの反発として、ライブ会場で投影機に色付きのプラスチックを重ねて演出をしたり、通俗なSF映画の現場に潜り込んでモヤモヤした顔をしながら仕事をする。銀行員や役員といった堅い職から逃げるようにエンタメの世界で、自分の傷を癒していく様子がいたたまれないのだ。

『モーターサイクル・ダイアリーズ』や『オン・ザ・ロード』もそうだが、通常この手の意識高い系が出てくる青春映画は、思想の違いからそれぞれの道を歩み始めるものだ。切なくとも希望が見える傾向がある。しかし、本作はひたすら絶望的だ。この絶望感、前に進むしかないと諦める展開はケリー・ライカート『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』を思わずにはいられない。あちらは、肝心なテロシーンは画から排除していたが、『5月の後』はスタイリッシュなカメラ捌きで魅せてくれる。対の関係にある作品と捉えることが出来そうだ。
yuria

yuriaの感想・評価

4.1
当時13歳だったアサイヤスの目にうつった1968年の「五月革命」は 20歳でこの時代を体験したガレルによる『恋人たちの失われた革命』の 69年に変わる瞬間のダンスシーンの感動を引き起こすことこそ出来なかったものの 芸術と革命に対する想いはケヴィン・エアーズの音楽もあって未来のなさが良かった。

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