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光陰的故事
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『光陰的故事』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.3
 小芬は母と姉と3人で暮らしているが、姉は母親に反発し、予備校にも通わずプラプラしている。妹との会話も少なく、急に大人びた姿になり、色々と遊んでいるらしい。映画は小芬が少し大人になるひと夏の成長の過程を描いた物語である。夜中に突然生理になり、母親と姉を呼ぼうとするも2人はいない。小芬が2人の名前を大声で呼んだ後、部屋の中の無人のショットが重なり、後のエドワード・ヤンを想起させる冷たい空間が提示される。彼女は大学生の下宿人に淡い恋心を抱くが、思いがなかなか伝えられない。母親の手伝いをする大学生の汗だくの上半身を凝視し、胸をときめかす。ビートルズの『愛こそすべて』が流れ、ベトナム戦争のテレビ映像が絶妙に交差する。ある日小芬は意を決し、下宿人の大学生に宿題を教えてもらおうとドアを叩きそうになるが、そこで聞きなれた女の声を耳にする。窓ガラスをそっと開けると、大学生と親しげに話す姉の姿があった。エドワード・ヤンは処女作となった今作で早くも、言葉にならないイメージを幾つも積み上げる。少女から大人に成長していく小芬の思い、彼女より一足早く大人になった姉の思い、そして小芬に対して恋心を抱く黒縁眼鏡の少年の決して交わることのない思い。それらふいに宙をかすめるだけの叶わない願いだけが、しっかりとフィルムに焼き付いている。

 1980年代初頭、台湾映画界は瀕死の状態にあった。その理由は同じ中国語圏の映画である香港映画、中国映画の波が台湾にどっと押し寄せて来たからである。台湾においても人気はキン・フーやツイ・ハークの映画であり、その看板となるショウ・ブラザーズやゴールデン・ハーベストの映画であった。その結果、台湾映画界は製作本数も観客動員数も激減し、母国の映画産業は瀕死の状態にあえいでいた。現状を打破すべく、台湾映画界は構造改革に乗り出した。宋楚瑜を中心に、政府が台湾映画の芸術性や国際性を高めるような一連の改革に乗り出した。改革の一環として、党営企業である中央電影公司に小野(シャオイェ)、呉念真などの若手スタッフを登用し、それらスタッフが採算にとらわれない映画づくりを模索し始めたことが運動の機運となる。最初に撮られたのが4人の若手監督による記念すべきオムニバス作品『光陰的故事』である。日本語では時の物語とも言われる今作は、1960年代から1980年代までの台湾の激動の時代をそれぞれ、幼年期、少年期、思春期、青年期の4部構成で据えたオムニバスとなっている。

 クライマックスで少年は「乗れない時は自転車に乗れたら、どこにでも行けると思っていたが、いざ乗れるようになると、行きたいところが見つからない」とつぶやく。少年時代の甘酸っぱい思い、恋する彼女が自分よりも先に大人になってしまった焦燥感、これからの時代に対する苦々しい思いがその台詞には全て内包されている。どうしようもない運命に翻弄される悲劇の男と、淡い思いが叶わぬまま終わる女の主題は、後のエドワード・ヤンのフィルモグラフィを考える上であまりにも興味深い。今作の成功を踏まえ、翌年台湾は『光陰的故事』に続き、若手監督を4人起用し、『坊やの人形』を撮る。そこには若き日のホウ・シャオシェンも含まれていた。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、2人が世界の映画史を引っ張っていくのは、このほんの数年後の出来事である。
emily

emilyの感想・評価

3.8
1960~80年代を背景に子供時代から青年時代までの4つの短編を積み重ねたオムニバス。第1話「小龍頭」(タオ・ドゥツェン監督)、第2話「指望」(エドワード・ヤン監督)、第3話「跳蛙」(クー・イチェン監督)、第4話「報上名来」(チャン・イー監督)の4話構成

徐々に大人に向かっていき、悩みの種や描写の仕方も、時代も変わっていくため、自分のあの頃と重ね合わせながら、普遍的なテーマをそれぞれみずみずしい言葉すくなで描写で描く。

子供目線、足元や草越し、弟と常に比べられ、勝手な固定概念で兄を見てしまっている両親。要領良く世の中を渡っていく少年と、不器用だけど素直な兄との対照的な描写はひりひりと痛みを放ち、まるでPVのように音と行動だけで見せる日常が印象的。それでも好きな子がいて、大好きな恐竜の人形がある。それだけで救われる単純で純粋な少年は美しい。

2話もやはり音楽と目線で言葉少なく語り、瑞々しい少女の大人の女性に移り行く目線をカメラが追う。近所の小さな男の子と年上の青年の間で揺れ動き、大事なものを見つけていく少女の物語。閉鎖的な家の中を、空間をしっかり使ってみせ、光と影を上手く扱い、小さな近所の男の子との自転車の練習を音楽と動きだけで見せる。少女が恋愛を通じてすこしずつ色っぽく大人になってくいく描写をふわっと包み込むような色彩の中で、少女の目線からみる青年の色気を堪能する。瑞々しい片思とラストの小さな少年の何気ない言葉の数々を黙って聞き流す二人の後ろ姿が良い。背伸びして大人になる必要なんてない。だって誰でもすぐに大人になってしまうのだから。

3話はカエルを交差させながら、冒頭たくさんの人込みの中から「僕を探して」というポップな始まりが良い。冴えないメガネの大学生も、眼鏡をとればしっかりイケメン。全体を通してコミカル喜劇の中に、カエルのグロテスクな絵がかぶさり、良いバランスで、最後にはしっかり青春に爽快感を残す。4話は一番ドタバタ劇で、人間関係のずれや社会の中でも隙間を逆手に取った丁寧に積み上げたコメディに酔いしれる。

特に1話と2話の描写が美しい。言葉を最小に抑えることで、その心情を的確に動作と表情、目線やコントラストで見せる。少年と少女の大人へ向かう過程で心の揺れ動きを閉鎖的なカメラワークや、色彩の中でみずみずしく切り取った短い時間の中で、しっかり余韻を残すラストが鳴り響く。
流れる時間の中で、こうやって大人になり、時代がそうして音楽が、周りにいる人が寄り添い、自分の歴史は刻まれていく。

年代相応の悩みがあり、それは大人になったからといって消えるものではない。一つが解決すれば次の問題が覆いかぶさってくる。しかし解決できない問題はない。与えられた課題はその時の自分に必ず乗り越えられる。
RIO

RIOの感想・評価

3.6
#1 恐竜さえいれば人生に何も要らない恐竜くんの妄想が良いな


2# やはり エドワード・ヤンはめまいがする 光の捉えが滑らかで

壁の前に立つ美少女にクラクラ 登校に隣を歩く宇宙人みたいな友達にもクラクラ 赤ちゃんみたいな顔をして声がお兄さんという違和感

シャオフェンは肖像画のような笑みで机に頬杖をついている
憧れていたものに絶望して歩く夜の道に彗星のように現れた例の友達の怪しく光るメガネのレンズ 凄い存在感が気になる

自転車に乗れたら何処へでも行けると思ったけれど 何処に行ったらいいのか分からない



Chopin「ワルツ第10番ロ短調作品69-2」

Chopin 「12の練習曲 作品25 - 第1番 変イ長調」*マウリツィオ・ポリーニ

「Vals op.69 num2 en si menor」

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