もめん豆腐

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のもめん豆腐のレビュー・感想・評価

2.5
「これからが私たちの出番よ」
って、お前たちの出番なんて一生来ないから安心しろ。
いや、もう、長くて長くて🙃それぞれの事件は個別に少しは知ってるけど、これを見せられても
左派は正しかった
とも
あの時代に必要だった
とも
思わないんだわ。
若松孝二監督が今作を作った理由が「(『突入せよ!浅間山荘事件』のこと)警察が正しいというあんな映画を見たものだから、今の若い人たちにわかるような映画を作りたかった」らしいけど、一体どうしたらテロリストたちが正しかったと思えるのか、不思議でならない。なんなら坂口弘がまだ死刑執行されていないことにイラつきさえしている。これを観て「ああ、あの時代に左翼のテロは必要だった」なんて思うわけはなく「浅間山荘管理人のご夫婦も、三菱ビル爆破事件の犠牲者も、よど号事件で飛行機に乗り合わせていた乗客も、被害にあったみなさんに心から寄り添いたい」と思うだけ。思い上がった輩に穏やかな日常を壊された人々に想いを寄せるだけだよ。
前からぼんやり思ってたことなんだけど、この一連の左派とオウム真理教の成り立ちが似てる気がするの。この二つとも高学歴が多い。で、実行役や虐げられてる人にそうでもない学歴の人がいて、自由や平等を謳ってる割に実に下らない組織編成だったりする。こんなのに騙されちゃうって、勉強だけやっててもいけないんだなとしみじみした。
この連合赤軍の訓練がこれまた稚拙で、バーンバーンと声で発砲音を繰り出したり、数少ない仲間を総括出来てないという極めて理不尽な理由で陰湿な嫌味で攻撃したり、一人を多数で攻撃する意味を持たない言動を繰り返す。この蛮行のどこに若松監督のいう“純粋さ”があるのか、皆目わからんわ。平等を掲げながら炊事は女がやっていた様子だし全然平等じゃねぇじゃん、森も坂東もお前らもやれよ、クソが!あまりに下らなくて時折吹いた。こんなことを真剣に京大、大阪市大、海洋大、横国に入った頭脳でやってるなんて、誠にくっだらねぇ。
なおかつ、彼らが憧れた毛沢東主義は、この数年後毛沢東の死によって崩壊し、直後に江青は死刑判決が出て、自殺する。文化大革命をしたことで中国の歴史的文化的財産はかなりの数破壊され、知的な層がごっそり処刑され、国の発展に大きく遅れをとることになるという歴史が既に示されてる。こいつらは紅衛兵がやっていたことの真似事をしていただけ。

そうそう、役者と演出に関してはなかなか良かった。実録と銘打っているからにはそこは丁寧だったと思う。原田芳雄さんのナレーションも良かった。森の小賢しく卑怯な性格や永田の猜疑心が強く嫉妬深い性格も再現されていた。暴力シーンが視覚的に描かれていなかったことも高感度は高い。低予算で撮影されたと聞いていたので、鉄球を打ち込まれる場面はどうするのだろう🤔と楽しみにしていたが、そこはさすがに再現することもCGを使うこともムリだった様子。放水だけでも役者陣の頑張りで、それなりの迫力は保てていた。
遠山美枝子が殺された理由の「化粧なんかして女を捨ててない」なんていうなら、永田は顔中に鼻くそでもつければいいのに〜って思って観てたわ(鼻ほじ)。
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