囚人13号

歴史の授業の囚人13号のレビュー・感想・評価

歴史の授業(1972年製作の映画)
3.5
自動車というパノラマ装置、動くフレームインフレームが画面へ絶えず不規則変化を導入し、主題である古代ローマの政界とは明らかにかけ離れた現代人たちがそこを無造作に横切っていくことで、同時録音のマイクへ即興的な音を刻みつける。
幕間と呼ぶには余りに長く、文字通り空間のみならず時空までも接続しているこの移動は三度反復されるが、その都度日光が傾いているという時間経過を見落としてはならない。

ただし主軸はキャメラを全く見ないで喋り倒すいにしえのガーシー。偶像化されてるC(カエサル)のこと晒していきますからね、そこからインタビューが同時代人に至る意図的な時代錯誤は普通に面白い。
あとは完全にリーフレットパクろう問題だけど、原作解説者と映画本編の解説者の間でも既に意見が乖離しかけてる(独裁者の断罪について、ブレヒトがカエサルを取り上げた意義)のでこれはもう自由解釈していい映画だと思うし、何ならテクストなんて一言も頭に残らないから!

くだらん事を長々と書いちゃったが、とはいえストローブ=ユイレの中では特別優れているというわけでも無いんじゃないかしら…。古代史に精通している方も全く興味無い方も、恐らくそこまで楽しめないと思うんである意味平等な映画です。
囚人13号

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