囚人13号

ベルリン・天使の詩 4K レストア版の囚人13号のレビュー・感想・評価

3.8
幼少期に観たけど記憶になく、未見同然なのに観てると言い張ってきたやつ。いい映画ぢゃないか。

人間から観測されることはなく、言葉のコミュニティに属することのできない「天使」は個の中に隠された内面を聞き取り、肩に手をやって勇気を与えるが時としてそれは自殺をも後押ししてしまう。
町を徘徊し、不特定多数者の内面を無媒介的に暴いては立ち去っていく彼は必ず一度見下ろしてからしゃがみ込むことで人間視点を共有するが、相手から認知されることは無いため徹底して一方的な視線関係にあり、彼はそれ(天使の視点)に耐えられなくなっていく。

唯一逆転しているのが他ならぬ空中ブランコ乗りの女で、デミル的なスペクタクルではなく天使との切り返しによっていつ落下するのかというサスペンスが生じるのだが、ここではじめて「見上げる」人間の視座を無意識的に体験した彼は、人の目線でものを見ること=人間になるという欲望に目覚める。

まぁファンタジーだけど大分緩いし、思ってたよりフェリーニだったんで物語性豊かなスローシネマとして臨むと楽しいかも。あと全てがPERFECT DAYSと真逆の映画かもしれない
囚人13号

囚人13号