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『よみがえるブルース/トゥー・レイト・ブルース』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.9
 ジョン・カサヴェテスのフィルモグラフィの中で唯一観たことがない作品だが、パラマウントで撮った映画の割には歪で病んでいて普通にビビった。ボビー・ダーリンの役名が「ゴースト」だし、モダン・ジャズの黄金時代なのに、黒人の孤児施設への慰問とか公園で鳥たち相手にしか演奏しなかったり、普通に演奏すれば引く手あまただったはずなのに、青年期のリビドーと自分の才能の芽が出ないモヤモヤとに支配された主人公が、ただただ気持ち悪い表情を浮かべるだけの映画で、これは興行的に不振だったのも納得出来る。どこに視点を持って行くかが明確ではない。ゴーストはジェス・ポランスキー(ステラ・スティーヴンス)の歌を見初めるわけだが、本当に彼女の才能に気付いていたのかは疑わしい。彼女に下心があったからこそ彼女を褒めたとも言えるし、芸術的な才能がプレイヤーとしての琴線に触れたのだとしても、そこで彼女を楽団のシンガーに据えたゴーストの判断がのちの不幸を招く。

 傑作『アメリカの影』でチャーリー・ミンガスを劇判に招いたジョン・カサヴェテスの審美眼は尋常ではなく(LPも10年代の再発をようやく購入し、愛聴している)、今作もニューヨークで撮られればまた別の風情だったのだろうが、パラマウント=西海岸という制約がイマジネーションの足枷になったことは想像に難くない。それでもシェリー・マンにレッド・ミッチェル、ジミー・ロウルズにベニー・カーターらという当時の西海岸の黄金のプレイヤーたちを招いた劇判の出来はまったく悪くなく、モダン・ジャズの貴重な記録なのだがボビー・ダーリンやシーモア・カッセルらの当てぶりが想像以上に凡庸で困ってしまう。おそらくユダヤ系だろうジェス・ポランスキーの歌声にはどこか哀愁が伴い、これはこれで悪くないのだがジャズというよりはブルースで、作劇は非常に甘く、凡庸な映画に帰す。中盤の野球のランニング・ホームランのくだりの馬鹿馬鹿しさとか『ハズバンズ』のスポーツ・シーンのようで最高なのだが、ゴーストは結局、ジェスという女性をどこに置きたかったのだろうか?自分の彼女を楽団のメンバーたちとはシェア出来ても、酔っ払いのアイルランド人は願い下げという判断そのものも目茶苦茶で、荒唐無稽にも思える。まぁステラ・スティーヴンスではなく、妻のジーナ・ローランズを起用出来れば思った絵作りが出来たかもしれないが、ボビー・ダーリンの情緒不安定さばかりに目線が行きがちなヘンテコなプログラム・ピクチャー。
ジョン・カサヴェテス監督二作目であり、メジャーデビュー作。ジャズ・ミュージシャンの話。

前作『アメリカの影』(1959年)はワークショップの延長線上の作品ですので、映画を作品として意識して作ったのはこれが初めてではないでしょうか。ジョン・カサヴェテス監督本人はスタジオとの関係で色々とストレスが残る作品だったようですが、それでもカサヴェテスらしさがすでに現れているのが面白いです。

ジョン・カサヴェテス監督の特徴は「不安定な感情」です。その不安定さを生み出すために感情がぶつかるシークエンスはしつこいくらいに長い。本作ではその特徴を生み出すシネマ・ヴェリテはまだ使われていませんが、感情がぶつかるカタルシスまでのシーンがとてもカサヴェテス的です。

カサヴェテス監督作品において不安定な感情は男女間で特に現れますが、本作でも主人公のゴースト(ボビー・ダーリン)とヒロインのジェス(ステラ・スティーヴンス)が「不安定な感情」を体現しています。二人とも音楽家で理想と現実の間で苦しむ。その姿は監督ののちの姿とも重なりますね。

もう一つのカサヴェテス監督の特徴は「極端なクロースアップ」です。この「極端なクロースアップ」が大々的に使われるのが『フェイシズ』(1968年)からですが、本作でもところどころで使われています。ああ、カサヴェテスっぽいなと感じる瞬間。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.9
ゴーストと言うからアルバート・アイラー的な何かと思いきやもっとカチッとしたジャズミュージシャンの話で、かつ型にハマるのを嫌う商業性と芸術性、経済性と自主性の相克の話でもあり、男らしさの金型の中でもがき苦しみ破滅していく「幽霊」とそこに巻き込まれる「姫」の話でもあった。ここで描かれるホモソーシャルや有害な男らしさ、破滅していく女性像なんてのは後の作品群の源流とも取れるだろうし、この時期の堅苦しさから解き放たれてこその到達点が後々の作品の輝かしさに繋がっていくのだろうと思ったが、だからと言ってこの作品がただの習作レベルである筈もない。主人公の人生のうねりと変遷が作品の面白さと直結するかの様に唐突に始まる草野球あたりでピークを迎え、男らしさの渦に飲まれ窒息する辺りで消沈するが、最後には見事に息を吹き返す。割れた鏡が元に戻らぬ様にそのブルースも既に遅過ぎる…だが括弧付きではあるが(こともない)が付属する事により微かな希望と共に終演を迎える。現金な人間なので主演がジーナ・ローランズであったら…なんて思ってもしまったが面白かった、排水溝からショットにちょっと笑う。こんな風に歴史の闇へと消えていったバンドは少なくあるまい…。

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