ペイジ

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦のペイジのレビュー・感想・評価

4.8
クレしん映画で1番好き

舞台は戦国時代。現代的な恋愛観を持つ廉姫と武人的価値観を持つ又兵衛の恋物語が中心。

時代物としても異常にレベルが高く且つそれがわからない子供も楽しめるように、つまり親子で楽しめる作品なのがすごい。子供騙しが一切入れられていない。

印象的なのは、合戦開始直後廉姫が外の様子が見たいと言い、本丸から櫓に行こうとするところ。子供でも又兵衛が心配で様子をみたいのだとわかる。
そこへ側近の吉野が姫を止め、姫のみ聞こえるボリュームで「姫様、吉野には分かっておりますよ。それはなりませぬ。」という。
かなり考えられたセリフ。当時の姫は家臣にとって命を賭けるに値する立派な人物である必要がある。この立派とは例えば国を1番に考え、また最後は潔く逝く様なことだ。吉野としてはそれに導くのが姫にとって幸せにつながると考えていた。恐らく姫を介錯する覚悟も済んでおり、当然それをするべきと考えていただろう。家臣に思いを寄せる様な行為は、当然姫として相応しくない行為であり、確信に触れず姫を制しようとした。後でいくらでもなかったことにできる完璧な言い回し。

しかし廉姫は現代的な価値観を持つため、かえって吉野の言葉に苛立ち「吉野のバカ」と言い放つ。愛した男が死地に向かってるのに姫の立場なんて気にしていられるかと言うこと。現代人としてとても共感できる。

ショックを受けた吉野は前進する姫を追いきれなくり遂に転ぶ。ショックを受けたと同時に姫の気持ちを理解し、自分の浅はかな考えを悔い、涙する。その前日又兵衛には死ぬだけが武士の道ではないといいながら、自分は廉に対してある意味安易な選択を強いる真似をしていたことに気がつく。吉野は姫の意思を尊重しようと、近衛が姫を追うのを制し、自分が追うと告げる。側近の女中は吉野が何故泣いているのか分からず困惑する。

時代物を見慣れてる大人なら自然にここら辺が入ってくるんだけど、分からない子供でも恋愛ものとして感動できるのがとてもすごい。こんなシーンがこの作品には沢山ある。クレしん映画なのに!!
ペイジ

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