荒野の狼

幸福の鐘の荒野の狼のレビュー・感想・評価

幸福の鐘(2002年製作の映画)
1.0
薄味(うすあじ)なんである、というよりしっかり出汁(ダシ)が取れていない。だからコクもない。せっかく椎茸(鈴木清順)や昆布(白石和子)、鰹(篠原涼子)といった良い出汁素材を揃えながら、それがスープとして活かされていないのである。麺(主役の寺島進)にはそこそこのコシはあるものの、9.9割がた台詞を省いたために、蕎麦で言えば0(ゼロ)割蕎麦になってしまった。しかも冗長な長回しのためその麺も、あらかたのび気味である。だから、例えて言えばこの映画、冷麦(そうめんでも可)を白湯で食っている感じ。部分的にシュールなのに、夢オチっていう隠し味もない。さらに言えば、匂いや風味に当たる脚本もお粗末。
通して語られる「死(返し)」も、形ばかり並べただけで何の深みもなく、これも薄味。食った気がしない、というよりはっきり言って美味くない。実食の必要もないので粗筋(あらすじ)だけで十分である。エンディングの鐘の音が『いつか来た道』って、ダサ過ぎだろう(笑)。
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