ぽん

メメントのぽんのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
3.7
これ公開時に観たときは「は?」って何がなにやらだったのですが。
ほぼ四半世紀の時が過ぎ再見した日には共感の嵐じゃありませんか。
すぐ忘れるからメモを取る。でもメモを取ったことも忘れてアラこんな所にこんな事が書いてあるヤバやらなきゃ・・・ってワシのことやないかーい!!w
でも、あんな要点だけのメモじゃかえって混乱するのさ日記にしろ。(それじゃ映画にならない)

前向性健忘と言う病気(というか後遺症)の主人公。新しい記憶が10分くらいしか持たない。人生が10分ごとにリセットされるという特異な状況を、ストーリーテリングの妙味として描いているのがこの映画の面白さの全て、という気が。いやすごいアイディアだなと感心しますが。

妻を失った主人公が呻吟するシーンにハッとなる。普通は時間の経過が辛い記憶を薄れさせてくれるものだが、今の自分には時間は慰めになるのだろうかと。リセットされた瞬間に蘇る1番新しい記憶が妻の死顔って、そりゃ地獄だ。時の牢獄に閉じ込められたよう。時間の概念について改めて考えさせられる。

変種のタイムリープみたいなもんですかねー。主人公が目を閉じても彼の外側に世界はある。でも彼自身はそういう外界のクロノス的な時間の流れに乗り続けることは出来ず、どこかで引き戻されて同じところをグルグルしている。その都度メモやタトゥーを羅針盤に巻き返しを図るけど、寝たり気を失ったりしたらそこでおしまい。そんな終わりのない物語。一応、ことの顛末は説明されるけどあんまりスッキリしないのは、主人公自身にとってのカタルシスが無いからかなー。(無いと言うか忘れてしまう) 永遠に蜃気楼を追い続けるみたいなハナシで、途方に暮れてしまいました・・・。
ぽん

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