ぽん

MAMAのぽんのレビュー・感想・評価

MAMA(2013年製作の映画)
3.5
ギレルモ・デル・トロ製作総指揮というところに惹かれて鑑賞。自分の中ではギレルモ・デル・トロは子どもの受難に寄り添う人、という印象です。本作もその線ではあったかと。

わりとクラシカルな幽霊譚でしたね。親と死に別れた幼い姉妹が、森の中の小屋で野生児のようにして育つ。5年後に発見された彼女たちは叔父に引き取られるが、どうやら森では彼女たちを養育していた者がいたらしい。その存在とは・・・?ってなハナシ。

叔父さんのガールフレンドがジェシカ・チャスティンで、全身タトゥーで目周り真っ黒でバンドやってますイエェェーイみたいなキャラで意外だった。でも姪っ子ラブな彼氏のことを放っておけないと、健気に仮ママ業というか里親のようになって養育に携わるのですね。アナベラ、いい人じゃん。
終わってみれば男性陣はさほど活躍せず、どこまでも母子の絆の物語でした。母親っていう生き物はこういうものでしょーって母性押しの悲話に、普段の自分ならチッって舌打ちしそうなところが、この度はなぜか素直に泣いてしまいました。疲れてるのかな?自分。

ここからはちょっとネタバレ、ラストにも触れるので下の方に書きますね。


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前半は、ハッキリとは見えない霊の描写がけっこう面白かった。「見えないけどそこにいる」っていうカメラワークがスリリングで。後半はガッツリご本人さん登場で、これがなかなか怖い。「リング」式に鎮魂されるかと思いきや「そうそう、この子を探してたの・・・って骨やないかーい!」っと逆襲される展開にひぃぃぃ~!てなった。しかも、あのラスト。あの痛み分けで私は泣いてしまった。相手を叩きのめして自分の主張を100パー通す、じゃないってところがヘタレな自分の琴線に触れる。あの時、視線を交わす女2人がお互いに「これで赦して」って折り合いをつけた風に見えたんだよなぁ。意地とか正義とかプライドとかそんなの放り投げて、現実的な最適解を選んだっていう風に。エンタメなんだから幽霊の方がバチボコに負けるのがセオリーだろうに、この後味の哀しさ、やるせなさがデルトロ印かなぁ。・・・好きですね、こういうの。
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