ぽん

ビザンチウムのぽんのレビュー・感想・評価

ビザンチウム(2012年製作の映画)
3.8
ニール・ジョーダン監督とシアーシャ・ローナンちゃんの名前に惹かれて鑑賞。
うん、物語らしい物語でした。私は好きです。

ヴァンパイアには特に思い入れもないのですが、要は生き続けることが軛(くびき)であるっていう、人生の悲哀を描くのに調度いい設定なんだろうなーと思います。

クララ(ジェマ・アータートン)は女であるがゆえに憂き目にあう薄幸の人なのだけど、どん底から這い上がるパワーがあって、主体的に生き方を選択して自分の人生をまぁまぁハンドルできている。
一方のエレノア(シアーシャ・ローナン)は、巻き込まれてヴァンパイア人生を歩むことになった、己の身の上を嘆き続けてる感じなのですね。そんな彼女が、フランクという男の子(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に出会ったことで変わっていく。自分の過去をさらけ出すことで前進するって、結局、恋によってブレイクスルーする古典的なラブストーリーだったかな。ただ、彼女の身の上バナシが千夜一夜物語ばりのスケールなので、そっちの方が面白い。それに「過去をさらけ出す」ってそんなただの自分語りで済む話じゃなくて、そのせいで何人も人が死んじゃうので、まぁヒト迷惑なお子ではあるのです。秘密は墓場まで持ってけや・・・って永遠に墓には入れんのかw

クララは男性優位社会において女を武器にして狡猾に闘い抜いてきた闘士なのだけど、エレノアはそういう男女の敵対関係から抜け出したんだろうな。そんなほの明るい前途が感じられるラストでした。
ぽん

ぽん