王冠と崑敏

太陽を盗んだ男の王冠と崑敏のネタバレレビュー・内容・結末

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「魅惑的な新技術を思いついたら、まずそれを実現してみる。その技術が成功してから、その扱い方を議論する。原爆がそうだった」
~R.オッペンハイマー

オッペンハイマーのこの発言は、『太陽を盗んだ男』を思い出させる。主人公の沢田研二は原爆を作ってしまうが、それで何をしたらいいのかわからない。原爆を手にした全能感こそがすべてだった。
~町山智弘・Xのポストより


爆弾犯の特徴:大抵が男性、犯罪歴あり、約50%は破壊目的
犯人が誤って自分ごと吹き飛ばしてしまうことも多い為、最初に疑うべきは被害者。
犯行目的:破壊行為、テロリズム、政治的主張、犯罪の隠蔽

と典型的な爆弾魔の犯人像を調べてみると、ジュリーが演じた犯人、理科の教師・城戸誠とは性別以外一致しない。なんといっても、作ったのは、よりによって『原子爆弾』だし、そもそも目的がない!
つまり、爆弾犯のプロファイリングに当てはまらない。何故か?と考えたら、城戸は、原子爆弾は作ったけれど、爆弾犯ではないから。だから、彼が警察に追いかけられるシーンでは、城戸が捕まらないで欲しいと願ってしまう自分が居て、かと言って、刑事役の菅原文太さんがまた格好良くて、正義🆚悪みたいな典型的な対決構造にはならない。

映画も型破りで結末もよくわからない。2人が高いビルの屋上から飛び降りてからはとてもエグいシーンが続くので是非観て欲しい。レビューを書くのに苦労するタイプの作品ではあるのだけど。

当時二十歳くらいの池上季実子さんがめっちゃ可愛くて、色気もある。子供の頃、TVを付けたらなんかしらドラマに出ていた女優さんのイメージ…男女七人夏物語より大分前の話。そんなに私と年齢大きく違わないけれどね(^_-)
沢井零子/ラジオのDJ役だったけれど、ぴったりな素敵な耳障りの良いお声。城戸誠の素顔を知ってしまう為、モンタージュ写真作成に協力させられる、その時になぜかそっくりに出来上がったのに、菅原文太/山下刑事に伝えない。菅原文太も絶妙なタイミングで、余所見をしてる。

城戸は自身を吹っ飛ばしはしないが、被爆して、髪の毛が抜けたり、歯茎から大量出血したり、吐き気が止まらなかったりするが、零子は、警察と城戸の結構ド派手なカーチェイスの末、
“車は初代「マツダ・サバンナRX-7」(SA22C)”
の助手席で息を引き取るが、抜けた髪の毛を心配して、長生きしてねと最高まで城戸の心配をしている。

よくわからないけど、面白い不思議な作品。不謹慎とか考えないで観たら良いと思う。

しかし積極的にお勧めはしない。
王冠と崑敏

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