白雨

ジェーン・エアの白雨のレビュー・感想・評価

ジェーン・エア(2011年製作の映画)
3.0
色が褪せたように寂しげで、ひんやりとした雰囲気が漂っている作品だった。ぱっと思いつくような恋愛物語のイメージとは違って温度の高い劇的な感情はあまり描かれないけれど、家族の一員としての居場所を探し歩く主人公の孤独の中に、時々ふと感情の揺らぎが見えるのがたまらなく好き。常に何かが足りないような、仄暗くて切ない気分になると同時に、ゆっくりと過ぎていく時間の描写と静かな田舎の風景は観ていてとても落ち着くなあと感じた。
風が吹き抜けていくみたいに軽やかに物語が展開して、人物それぞれがある行動に至るまでの気持ちの変化は、あまり深く掘り下げられていなかったように思う。ちょっと物足りない気はするけど、結婚とか家族、自分の居場所に関する重いテーマが中心にあって、狂気すらも描かれるのに、気持ちが沈み過ぎて不快になることがないのはそのおかげかもしれない。原作を読んだらもう一度観返したい。
白雨

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