クリーム

この自由な世界でのクリームのレビュー・感想・評価

この自由な世界で(2007年製作の映画)
4.0
不法移民就労問題を扱った鋭い切れ味の社会派ドラマ。無謀な馬鹿女の主人公には共感出来ないが、ずっとハラハラさせられ、目が離せませんでした。考えが浅く、威勢の良い最低なシングルマザーが、面白い様に巻き込まれ、落ちて行く。ラストも現実的で好きでした。

シングルマザーのアンジーは、息子ジェイミーを両親に預け、職業紹介所で働いていたが、同僚のセクハラに腹を立て、水を浴びせ、次の日にクビになる。 彼女は、友人ローズとカフェで働くアンディを誘い、自分で職業紹介所を立ち上げます。



ネタバレ↓



アンジーの職業紹介所は順調に始動しますが、実際はローンや税金の支払い等、資金繰りが厳しい。ある日、不法移民を内緒で働かせる方が儲かる事を知ります。彼らは、通常より安い給料で働き、劣悪な環境にも耐える。ピンはねし放題。
実際にこの方法で儲けたマフィアは警告を受けただけ。哀れなシングルマザーの私なら全然大丈夫とローズを説得。 最初はローンを返済するまでのつもりが、悪の道へと進んで行く。
しかし取引先の賃金の不払いで、労働者に賃金を払えなくなった。労働者の報復にあいボコられ、事務所には石を投げ込まれた。ウクライナから、新たな不法移民を招く為、住む場所が必要になったアンジーは、不法移民のトレーラーを入官管理局に密告した。これに対しさすがに許せずローズは出て行った。最後には息子のジェイミーが誘拐されます。彼は、無事帰って来たが、荒稼ぎした金は、誘拐犯の不法移民達に奪われた。それでも足りない分を働いて返せと約束させられます。そして、アンジーは再びローズと共にウクライナへ行き不法移民への職業紹介を展開する所でThe End。

この後、アンジーは借金を返す為、息子や家族の安全の為に働かなくてはならず、悪の道から抜け出せないと言うラスト。辛口の終わり方がリアルで良い。
貧しい国ウクライナに目をつけた辺りもリアリティがあり、完全に悪人の思考回路になり、クズに成り下がったアンジー。今後はもっと危険な目に合うだろう。全てを描かなくてもアンジーの結末は想像がつくのが素晴らしい。さすがケン·ローチ監督。面白かったです。
クリーム

クリーム