似太郎

柔らかい肌の似太郎のレビュー・感想・評価

柔らかい肌(1963年製作の映画)
5.0
【恋愛って面倒くせー😓】

フランソワ・トリュフォーらしい人間のおっちょこちょいな部分とある種の諦念が感じられるお洒落な不倫サスペンスの傑作。

著名な文芸評論家である主人公のピエールが、妻をほったらかしキャビンアテンダントの女との情欲に溺れて破滅するまでをサスペンスフルに綴った作品。💄

平穏だった1日の歯車が徐々に狂い始める…。ヒッチコックの某作を想起させる心理スリラー的な設定の中で大人の恋愛のもどかしさ、或いは卑しさといったものを極めて洗練された語り口で綴っている。

全編カット割が細かく、役者は即興的に生き生きと演じている。約2時間決して退屈することなく観れるスリリングな逸品である。

残された「時間」が迫ってくるのと同時に妻が夫への報復を行う迄のラスト・シークエンスが出色の出来で、この自分勝手な主人公が少し可哀想に見えてくる辺りがトリュフォーらしく極めて倫理的なオチではあった。

個人主義の国=フランス🇫🇷らしい自由恋愛と嫉妬に狂う人間を些か冷めた視点で描いたドロドロ感とは無縁の作品。ロケーションを多用したモノクロ映像が美しい。ヌーヴェルヴァーグの息吹きを感じさせる大人のためのラブ・サスペンス。😘
似太郎

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