荒澤龍

八月の鯨の荒澤龍のネタバレレビュー・内容・結末

八月の鯨(1987年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

・渋谷のBarにこの映画のタイトルの店があり、どんな映画か気になり鑑賞。
・八月の鯨というタイトルから夏のゆったりとしたバカンスのような時間が流れるゆったりとした映画。タイトルとシチュエーションがばっちり合っていて良かった。
大きな出来事は起こらないが、小さな変化の日常を映画にした、気持ちを落ち着かせる映画。
・派手さはないが映像や言葉選びなども含めて結構好きな映画だった。おじいちゃんおばあちゃんが可愛らしい。
・姉妹の自宅は海沿いで八月に鯨が毎年見れる。その小さな幸せがまた今年も見られることが喧嘩を通して永遠に自宅で離れず暮らしていくことを意味している。

・盲目の姉と世話をする妹の物語。どちらとも夫を失った悲しみを抱えながら生活している。
・姉の言葉は強がりと弱さが滲み出ていて、でもどこか助けてあげたいと思わせる部分がある。表情が絶妙に上手い。
・姉の寂しい気持ち、満たされない気持ちを11月みたいな気分と表現するのが良い。夫が死んだ月が11月。
・姉の意地悪さや憎まれ口が原因で喧嘩になる。それが寂しさによるものというのは現代にもよく見られる現象。
・姉妹とも高齢で現在でいう老々介護の状態。ストレスフルになるだろうなあという印象。

・モノクロからカラーにすることで経年を表すが綺麗だなあと感じた。
荒澤龍

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