萌える闘魂

ピラミッドの萌える闘魂のレビュー・感想・評価

ピラミッド(1955年製作の映画)
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巨匠ハワード・ホークス監督の珍しいスペクタクル作品。記憶が曖昧だが冒頭のファラオ凱旋には9千人を超えるエキストラを動員。邦貨にして20数億円が投じられた大作。最大の見所は後半に展開されるが、これは同監督の「ハタリ!」「リオロボ」同様ある種の捕獲装置の用意周到な機能ぶりの突然の出現にある。捕獲装置と云ったが同監督の例えば「赤ちゃん教育」における恐竜の骨格見本場面にも見られるように、人間による力業とは無縁の領域な些細な切っ掛けがとてつもない効果を挙げる奇想天外なホークス世界を形作っている。閉所恐怖症で無くとも、あの装置の無表情で規則的に役割を全うするその運動性はただの石材に自同律を与えているかのようだ。「十戒」「ベンハー」に先立つ史劇でもっと高く評価されて良い作品である。ヒーローものでは無いので派手さは無いが、内容は濃い。ジョーン・コリンズが妖艶な魅力を発揮している。