萌える闘魂

スージーの真心の萌える闘魂のレビュー・感想・評価

スージーの真心(1919年製作の映画)
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グリフィス監督「スージーの真心」は圧倒的に贅沢な作品である。同監督の200万ドル超大作「イントレランス」も確かに古代バビロニアを模した高さ50mの大城壁を作り1000人単位のエキストラを投入した贅沢な作品ではある。だがしかしそれは見かけの贅沢さであり映画の本質的贅沢さでは無い。ドラマの劇的展開、意外性のある伏線回収等何も無い、極めて細い物語をまるで糸が切れぬように繋いでいくその真っ向ひた押しといえる表現志向だけで成立させるグリフィス監督の映画を信じる映画愛に満ちた作品を私は他に知らない。この映画をラストに導いたのはグリフィス監督の構想では無く、ただ単にそれが映画だからで有る。映画によって愛された稀有な女優ギッシュの無数の表情の豊かさという「空前絶後のスペクタクル」を楽しむための作品である。