BOB

真人間のBOBのレビュー・感想・評価

真人間(1938年製作の映画)
3.5
フリッツ・ラング監督のクライム・ロマンス。

仮釈放中の前科者に雇用機会を提供するデパートにて。二人の前科者従業員が恋に落ちるのだが、、、。

"Crime doesn't pay"

とても風変わりな作品。
過去を隠し通そうとする女と、再び犯罪に手を染めようとする男の恋愛ドラマではあるのだが、シークエンス毎にトーンが大きく変わるので、どう見れば良いのか何度も戸惑った。

女の嘘がバレるかバレないかのサスペンスロマンスに始まり、元ギャング達によるクライムスリラーを挟んで、"盗みはダメよ"というお説教コメディで終わった。明らかなボケ担当キャラがいて、シリアスシーンでもしっかりボケてくる点も迷った要因の一つ。

フリッツ・ラング監督の映像によるストーリーテリングは見事。特に、オペラ風のオープニングなど、モンタージュを多用したトランジションが鮮やかだった。『激怒』と同様、ドアを開けたら男が立っているシーンの画力が強く、ゾッとさせられた。

黒板を使ったお説教タイムは、他に例を見ない傑作シーン。

タイプライターのような当時のレジスター。暖炉型収納ベット。ハネムーン気分の海外グルメ巡り。ノックや口笛など刑務所での合図。

"It isn't you, and it isn't me. It's you and me."

225
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