【貴族の没落】
オリジナル版が未だに観られないのが残念ではあるが、ズタズタにカットされた88分バージョンですら重厚で幽玄なムードが漂っている。あらゆる意味で呪われた作品。
オーソン・ウェルズらしいゴシック的な意匠を感じるアンバーソン家の栄華と没落を描いた文芸映画。撮影は名手スタンリー・コルテスで『狩人の夜』や『ショック集団』などが有名。音楽はバーナード・ハーマン。
役者陣ではジョセフ・コットン、アン・バクスター、ドロレス・コステロなど曲者が揃ったカルト作であり『市民ケーン』と比べ日本では未公開の幻の名画と言われ伝説となってきた。
ある意味『市民ケーン』を凌駕するクオリティの映像世界なのだが、助監督のロバート・ワイズによって「編集」された為結果的にちぐはぐな出来となってしまったのが惜しい。この内容で88分は短過ぎる。
完全版があれば是非とも観たい、天才オーソン・ウェルズによる未完の大作。🎞