KnightsofOdessa

クリスチナ女王のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

クリスチナ女王(1933年製作の映画)
3.0
[ガルボ姐さんの個人PVだけど"魅せる力"はスタンバーグの圧勝] 66点

クリスチナ女王といえばグスタフ二世アドルフとオクセンシェルナの時代を6歳で継承したスウェーデンの女王であり、本国では度々映画の題材とされている。個人的にはそこまで魅力的には見えないが、戦闘狂として三十年戦争を引っ張った父王の政策やら金食い虫だった戦争を周りに流されること無くあっさりと放棄し、さっさと女王の座を従兄弟に譲っている点が評価されているようだ。

映画としてはガルボ姐さんのトーキー時代の作品で、彼女の最盛期を象徴する映画である。MGMの稼ぎ頭だった彼女はサイレント時代の盟友でトーキーの波に乗り切れなかったギルバートを相手役に指定したが、逆にガルボとの差が如実に現れてしまって復帰ともなりえなかった。ちなみに、スウェーデン人であるクリスチナ女王をスウェーデン人であるガルボが演じている点は非常に興味深い。軍人といるより学者といることを好んだ強情で気品のある女王像がガルボの肖像に合致したんだろう。

内容は普通の恋愛劇なので特にコメントはないが、この裏でディートリッヒばっかり撮ってたスタンバーグに比べると物語る力も女優を魅せる力もマムーリアンの方が負けているように思える。ガルボ姐さんはいつも通り美しかったが、それは彼女のポテンシャルであって映像でアンプされているわけではないので、決定的に美しかったショット(「上海特急」で言うタバコのショット)が欠落していて内容も既に忘れかけている。女を魅せる力は変態ほど上昇するのかね。

世界史好き&おじさん好きとしてはやっぱりオクセンシェルナの登場が胸熱だった。そして、今更300本目だと気付いた。
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