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少年と自転車のクリームのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
3.9
ダルデンヌ兄弟らしい作品。クズな父でも一緒にいたいが故に少年がとる行動が、悲し過ぎる。「イゴールの約束」「ある子供」に出演したジェレミー·レニエが、本作のクズの父役です。どんどん悪化して行く役柄にイゴール少年の成長した姿が重なるのも面白い。

ホームにいる少年シリル。父は音信不通ですが、父を探そうと学校から脱走し、住んでいた団地を訪れますが、空き家だった。ホームの職員が彼を保護しにやって来ると診療所へ逃げ込み、待合室にいた女性に抱きつき離れようとしません。連れ戻されますが、抱き付かれたサマンサは、シリルの自転車を買い取り届けてくれます。そして、サマンサは週末だけ彼の里親になるのでした。



ネタバレ↓



サマンサと父を探し会いに行きますが、クズな父は金が出来ないと迎えに行けないと曖昧な返事をし、サマンサには息子に会う気はなく、連れて来るなと言います。サマンサは、直接シリルに言えと言い、シリルはショックを受けます。
ある日、自転車を盗まれ、追いかけると不良の溜まり場でした。1人の少年と喧嘩をさせられ、シリルが勝ち、リーダー格の少年に見込まれます。上手く丸め込まれ、襲撃を教えられ、実行。教わったとおり襲撃し、お金を奪いますが、被害者の息子に見られ、バットで息子を殴ってしまいます。
お金は奪ったが、目撃されたので襲撃は失敗。リーダーは、チクるなと釘をさし、立ち去ります。シリルは奪ったお金を持って、父の所へ行くが盗んだ大金を前に俺を犯罪者にするな!二度と来るなと言われます。サマンサはシリルを完全に引き取りました。
簡易の裁判が行われ、シリルの謝罪の言葉と、サマンサが賠償金を払う事で示談が成立します。
サマンサとの生活が始まり、2人でピクニックに行ったり、隣人を呼びBBQをしようと計画します。
シリルが薪を買いに行くとバットで殴った息子と出くわし、追いかけられ、木に登ると石を投げられ、転落します。
親子はシリルが動かないので、死んだと思い慌てますが、救急車が来る前にシリルは目覚め何事も無かった様に帰って行くのでした。

シリルは、父がクズなのを解っていても解りたくなかったのでしょう。しかし希望をへし折られ、リーダーの金に目が眩み、もしお金を持って行けば、父は一緒に暮らしてくれるかも知れないと思ったんじゃないだろうか。けして、良い子ではないシリル、サンドラの愛情で変わり、幸せを掴んで欲しい。ラストは、もう迷わず、サンドラの元に帰るって事なのかな?って思いました。やっぱり、ダルデンヌ兄弟は、安定して面白い。
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