てつこてつ

眉山 -びざん-のてつこてつのレビュー・感想・評価

眉山 -びざん-(2007年製作の映画)
3.0
先月徳島に旅行し、眉山のロープウェイ山頂にいまだにこの映画のポスターが貼ってあったので、U-NEXTで検索したら無事発見。

さだまさしの原作は未読。長崎県出身の彼が、何故、これだけ徳島色が全面に出た作品を書いたのかは気になるところ。

タイトルでもある徳島市の象徴、眉山はもちろん、粟野十兵衛浄瑠璃屋敷や、クライマックスの阿波踊りなど、徳島市全面協力のロケーションが効いている。

気丈な母親役を演じた宮本信子の凛とした和服姿や所作が美しいし、さすがの演技力。夏八木勲の渋さもいいし、マッチョ化する前の大沢たかおの好青年の役どころも合っている。チョイ役ではあるが、既にこの当時から大幅マッチョ化していた金子賢もいい味出してる。

ただ、ファンの方には申し訳ないが、松嶋菜々子は確かに非常に美しい女優さんではあるが、常に能面のような顔つきで、表情で魅せる演技があまり得意ではないのか、個人的にはやっぱり苦手だなあ。

ストーリーも母と娘の絆を描いた良い内容だとは思うが、少なくともこの映画では人情ドラマの上澄みだけをすくった感があって、浅いとまでは言わないが、人間のもっと深い部分の情念などを描いた作品のほうが好みの捻くれた自分には少し物足りない。

クライマックスの阿波踊りの会場シーンでのスローモーション演出やそこでの展開が、あまりにも狙い過ぎ、話の出来すぎ感が気になった。

個人的には、これまで“献体”=“臓器提供”だとすっかり思い込んでいたので、こういう意味もあるのかと勉強にはなった。

エンディングロールで、懐かしのアイドル竹本孝之(代表曲は「てれてZIN ZIN」だったかな?)の名前を発見し、どの役どころか調べてみたところ、何と、夏八木勲の青年時代だったとは。なかなか男前の役者さんとして活躍してるんだとしみじみと感じ入るところあり。
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