アキラナウェイ

潜水服は蝶の夢を見るのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)
4.3
これはなかなかの作品ぞ!!

1995年12月。ファッション誌ELLEフランスの編集長であるジャン=ドミニック・ボービー(マチュー・アマルリック)は、脳梗塞に倒れる。20日に渡る昏睡状態から目覚めると、意識と記憶は正常だが全身は麻痺状態で、辛うじて動かせるのは左目のみだった—— 。

閉じ込め症候群"Locked-in syndrome"と呼ばれる意識障害。

垂直方向の眼球運動とまばたきを除く、体内のほぼ全ての随意筋が完全に麻痺し、意識はあるものの、口頭でのコミュニケーションができない状態。

…これは、、、辛い。

ジャン=ドーの視点で映し出すカメラワーク。身体が動かない事に焦り、苛立ち、絶望し、ただ脳内に響く独り言。

乾燥を防ぐ為に、開いたままの右瞼を縫い付ける時の映像がリアル。糸と針が実際に目の前にあるかのよう。

「ジョニーは戦場へ行った」を彷彿とさせる、意識はあるのに、自分を取り巻く人間に意思表示が出来ない状態。

もう1回言うけど、、、辛い。

でもネ。
彼を担当する言語療法士と理学療法士が美人さん。

言語療法士の女性は、アルファベットを読み上げ、彼が唯一動かせる左瞼のまばたきだけで意思疎通を図る訓練を始める。

孤独の果てに取り残された男は思った。

左目以外に麻痺していないのは、
想像力と記憶。

本を書き上げようと。

彼のまばたきから文字を拾い上げ、本を書き上げる助手も美女。

20万回のまばたきによって綴られた回顧録。まばたきをする者も、それを書き留める者も、凄い。

その本が出版された後の出来事には、思わず言葉を絶した。

実話である事の重みに押し潰されそう。

左目以外動かないという、究極の演技を魅せてくれたマチュー・アマルリックに賛辞を送りたい。

*僕はU-NEXTで鑑賞しましたが、現在は配信されておりません。悪しからずご了承下さい。