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美しきセルジュのbennoのレビュー・感想・評価

美しきセルジュ(1957年製作の映画)
4.0
アンリ・ドカエ撮影監督作品…。


閉鎖的な小さな町でのよそ者(都会人) vs 田舎者の構図…都会の青年が故郷の田舎に戻り、落ちぶれてしまった親友を救おうとするお話…。


病気療養の為にパリから故郷サルダンという田舎町へ帰省したフランソワ(ジャン・クロード=ブリアリ)…彼は十数年ぶりにかつての親友セルジュ(ジェラール・ブラン)と再会します…。

建築家志望で優等生だったセルジュは酒浸りで自堕落な生活を送り、見る影もない姿に…フランソワは愕然…。

聞けばセルジュは大学進学を志していたものの、恋人イヴォンヌを妊娠させた為に結婚…夢を諦め働いたのですが、生まれてきた子供が死産…希望を失ない荒んだ日々を送っていました…。

そして妻イヴォンヌは2番目の子供を妊娠…なんとかセルジュを立ち直らせたいと願うフランソワ…。

しかしセルジュの義理の妹マリー(ベルナデット・ラフォン)がふたりの関係を稚児しくさせるのです…。

そんな彼らの拗れた関係を知っていて見て見ぬふりをする町の人たち…牧師までもが見放し、信仰が何の救いにもならないほど閉塞した町…とても息苦しい…。

そしてフランソワの帰省によってその町の均衡も崩れてしまいます…。牧師の「出ていくべきだ」という忠告を無視しフランソワはそこに留まります…ここでの映像も素敵…打ち拉がれるフランソワと外の雪の映像が重なります…。

その他にも今作はドカエのカメラが抜群にいい…町の重苦しい空気とは真逆のカメラワーク…丘の上から捉えた俯瞰ショットやホテルの窓から覗く街並みの開放感…。

クライマックス…イヴォンヌが産気付き、フランソワが雪の降り頻る夜の闇の中をセルジュを探すシーン…陰影美も見事…。

赤ちゃんは無事産まれるのか…?? そしてセルジュは立ち会えるのか…??

ラストは観る側の捉え方…
      bad or happy ending…??


✎︎ YouTube (仏語音声、英語字幕)ですෆ*
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