もめん豆腐

告白のもめん豆腐のレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
4.6
湊かなえ節炸裂の原作に配役・演出・色彩・カット・編集全てがあてくし好みの作品。強いて言うなら中島監督がハラスメントヤロウだと言うことだけが難点。怒鳴ったり物を投げたり恫喝するのは全人類ナシな。
基本、カットが多いのは好きではない。でもこの作品のカットの多様と編集はこの作品の不気味さにとても合っていて好き。全体の色も赤を極力排除して血の通った温かみを感じさせず、途中で出てくるピンクのわたうさちゃんさえも薄気味悪く見せ、色彩だけでも不穏さを表現してる。こんなに人の悪意を描くのがうまい作家が他にいるだろうか。何年か前に石田衣良先生が湊先生の描く人の悪意に、彼女にしか描けないとおっしゃっていたのを思い出した。
登場人物はタイトル『告白』にふさわしくそれぞれの告白以外に無駄なセリフもなく、使った曲はセリフを邪魔しないピアノ曲とRadioheadのCreepだけにした勇気も讃えたい。音に頼れない分、役者たちの力量が試されたと思う。
松たか子さんが過去に出演した明るく清潔な役どころから一変したこの作品。感情を表し泣き崩れたかと思いきや「なーんてね」の件も非常に良い。加えてウェルテルも生徒たちもそれぞれの役割をしっかり担っていたしモンスター〇〇を演じるのが楽しそうな木村佳乃さんの面目躍如も果たされて、大変満足。
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