シュガー

エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ちのシュガーのレビュー・感想・評価

3.6
偽装誘拐を企み計画通りとなるはずだったエミリーと、計画実行中のエミリーが乗った車を盗んでしまうなんとも運の悪い車泥棒ビンセントが織り成すなぜかドキドキハラハラしないむしろ癒されるロードムービー的ラブコメディ。

最初は少しキツく見えたエミリーの表情がビンセントと行動をともにするにつれ、柔らかく可愛らしくなっていくのがとても良かった。
一方とても慣れた手付きでエミリーの車を盗みスーツの着こなしに歩き方に自信に満ち溢れ余裕の表情でかなりスマートに見えたビンセントは彼女と行動をともにするうちに情けないような途方にくれたような表情になっていくのが二人のパワーバランスを表しているかのようでさらに良かった。
彼にとってはあきらかな窮地だもんね(笑)
若者に振り回される泥棒のおじさん、というとなんだか気の毒に思えそうなものだが、この映画はどこか洗練された空気があって、そのままの二人を応援したくなる気持ちになった。

あと、ビンセントの喋り方が良い意味で抑揚があまりなくて、一定のトーンで静かに話すのと、エミリーも若いけど見た感じの印象と違ってそこまでキンキン喋りじゃなかったので、その点がこの映画に癒しとなる要素を作り出しているんだなと感じました。
ていうか静かに話すのすごくいいってこの映画で初めて気付いたツボだった。あとビンセントの笑い方ニヤッとしてるんだけどなんかやたらセクシーで、そこもハマった。

物語が進むにつれ、だんだん優しく紳士的になるビンセントと、あらトゲはどこにいっちゃったのと可愛らしい女の子になるエミリーの変化に心が洗われ、こちらまで柔らかい気持ちになりました。
そして叔父さん、人情味がちゃんとあった。すごいコート着てる辺りからそんな気配はあったけど。なんなら親より親心あってホッとした。

ラストもロマンチックな終わり方でめっちゃいい余韻が残りました。なんか心の奥に眠るツボにやたら刺さるこの映画、なんなんだろう。好みがたくさん詰まっているのかもしれない。あ、シュガーな気持ちってこういうことなのかな。(笑)
始まりから終わりまですごく魅力的で、久々に好きな雰囲気の映画を見れて大満足でした。
シュガー

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