イチロヲ

あの胸にもういちどのイチロヲのレビュー・感想・評価

あの胸にもういちど(1968年製作の映画)
3.5
倦怠期に悩まされている若妻(マリアンヌ・フェイスフル)が、不倫相手の青年(アラン・ドロン)と再会するべく、長距離のオートバイ移動を敢行する。アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ著「オートバイ」を映像化している、ロード・ムービー。

結婚生活により心身ともに抑圧されている主人公夫人が、不倫のドキドキ感を刺激剤にしながら、オートバイを疾走させていく。森林地帯から田園地帯、都会部へと、シチュエーションがものすごい早さで切り替わる。

「アラン・ドロンは、ユングのいう元型(完璧な人間像)ではないか?」という勝手な観測を付け加えると、趣が増してくる。完璧な人間なんぞ存在しない現実と、自分の中にいる元型との板挟みに陥る。そんな観念的な物語を、脳内補完してもオッケー。

アラン・ドロンのモテ男としての言動が、もはやギャグの領域のため、いちいち笑えてしまう。なお、日本の漫画(アニメ)「ルパン三世」は、あらゆる既成品からモチーフを集めているのだが、本作もまた峰不二子のイメージの元ネタとなっている。
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