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放浪の画家 ピロスマニのbennoのレビュー・感想・評価

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)
4.6
『私の絵はジョージアには必要ない
 なぜならピロスマニがいるからだ』

      ーパブロ・ピカソー


ピカソが絶賛したジョージアを代表する画家、ニコ・ピロスマニ…彼の半生を描いた作品です…。

始まって秒でknock down…彼の映像、画作りに一目惚れです…。

幼くして両親を亡くし…親戚の家で暮らすことに…若い頃は店の看板に飾る動物画や人物画を描きます…グルジア鉄道で働いたり、農業をしたり…しかしどれも彼には向かず、放浪の日々を送ります…。

そして街に戻り友人のドミトリーと共に店を開くものの…商人にも向かず、店の品物を貧しい人々に与えて、店を閉め再び放浪の生活…。

しかし街や店に飾られた彼の絵は人々に一目置かれるようになっていきます…。

一杯のお酒を得る為に画材を抱えて居酒屋を渡り歩く生活を送っていたピロスマニは、作品がある芸術家の目に留まったことをキッカケに、美術界から注目されます…。

ただそれも長くは続かず…彼は酒場で見初めた踊り子のマルガリータに恋をします…報われない恋…そのことが彼を孤独な生活へと追い込むのです…。

更に追い討ちをかけるように…ロシア革命前のピリピリとした時勢の中…彼の純朴な印象の絵は"幼稚、稚拙"と捉えられ茶化される対象に…。

ピロスマニの人生全ては…彼のアイデンティティと居場所を探す旅そのもの…常に哀愁を纏い、笑顔のない姿はとても印象的です…。


今作で彼の存在、作品を初めて知りましたが…もお一瞬で虜です…素朴派のアンリ・ルソーのようなタッチでとても好きな画風…。

映像自体が彼の画風に倣い、固定されたカメラも静かにゆっくりと静謐で素朴な雰囲気を作り出します。

実物なのか絵画なのか…人物の僅かな動きでそれが分かります…床や木、壁などの色彩や質感…絵画と見紛うほど…。

また、映像の中には彼自身の作品も多く披露され、とても魅了されます…。

因みに、加藤登紀子さんの ♬『百万本のバラ』の歌詞は踊り子に夢中になった彼がモデルになっているそうですෆ*

https://youtu.be/w47mtRGKrK8


✎︎ YouTube (露語音声、英語字幕)でご覧になれますෆ*
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