ハンスウ

革命児サパタのハンスウのレビュー・感想・評価

革命児サパタ(1952年製作の映画)
4.0
去年ですか、役所広司がカンヌで男優賞受賞しましたけど、約70年前に受賞したのがこの作品のマーロン・ブランドだそうです。マーロンは男から見てもカッコいいワイルドなイケメンやろーですが、見た目から役作りに取り掛かるのは「ゴッドファーザー」を観てる映画ファンならご存知でしょう。口の中に詰め物をして頬をふくらませたりしてましたが、そういったことはこの作品でも取り組んでいたようです。まぶたに特殊メイクをして頬を軽く膨らませているので今作を初めて観た時は一瞬本人なのか疑ってしまいました。

メキシコで長く続いてしまっている独裁政権により村人たちの肥沃な土地が奪われてしまうということが起こっていたんだそうです。村人の中にはサパタとい青年がいるんですけど武器を取って立ち上がり体制側と争うようになる。そんな争いを続けているうちにサパタは大統領にまで上り詰めるんですけど、その後思わぬ事件が起こってしまったことをキッカケに山にこもってしまうんです。そしてある取引に応じるんですがぁぁ……。っていうストーリーですけど、サパタっていうのは自在した革命家なので映画は実話を元にしたフィクション。伝記物ですね。

映画の中ではこのサパタっていう人はとにかく欲がない。手柄を立てたり権力を握れば豊かな土地を褒美としてもらうこともできるんだけど、そんなことより村人たちが取られた土地を早く返してくれ、というのがサパタの望みです。映画だからいくらかは脚色はされているだろうけど、サパタを無欲な青年として描いているところに社会派のエリア・カザン監督の正義や作品を作る動機が見え隠れするような気がします。

また、マーロン・ブランドの初めてのアクション映画でもあります。乗馬から剣を振り回したり銃も撃ったりと暴れ回るので、まだ若い俳優にとっては楽しくて仕方なかったんじゃないかと想像します。壮絶なラストにいたるまで始終その存在感がまぶしい。やはり稀有な俳優と言えるでしょう.
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