ノッチ

オペラ座の怪人のノッチのレビュー・感想・評価

オペラ座の怪人(1989年製作の映画)
3.5
オペラのプリマを目指すクリスティーヌが、音楽図書館の古書の中から見つけ出した、エリック・デスラー作曲“勝ち誇るドン・ジュアン”を舞台のオーディションの曲に使用。

だが、その最中に事故に遭ったクリスティーヌは、前世--すなわち本物の“オペラ座の怪人”のヒロイン--に遡っていく……。

アンドリュー・ロイド・ウェッバーのミュージカルとしても有名な、ガストン・ルルー原作の同名小説をストレートなゴシック・ホラーとして映画化した作品。

ファントム(エリック)の人間臭さと残虐性を強調し、シリアル・キラーの要素や殺人場面の過激なスプラッター色に趣を入れている。

怪人を演じているのがロバート・イングランドだから、見た目はまさしく『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーそのものだ。

ロバート・イングランドは、最後のほうでちょろっと素顔を見せる以外はほぼ特殊メイクで出ています。

仮面を被るのではなく、つけ鼻や入れ歯や他人から奪った皮膚を自らの手で縫い付け、パテ埋めでつなぎ目を隠すというグロテスクなメイクを施す姿が圧巻。

1925年版のロン・チェイニーを凌駕する威風堂々としたキャラクター造形でもある。

ヒロインを演じるシュエレンも、綺麗可愛い魅力を振り撒きながら熱演している。

今回の怪人は、過去に悪魔と契約し、戯曲を完成させる事と顔面の皮を剥がされた男という設定。

原作小説からすれば、かなり違う設定のストーリーですし(これはほかの作品もそうですが)、残虐なシーンが多いため好みが分かれる作品ですが、個人的にはけっこう面白かったです。

現代から過去、そして現代と時代を廻りながら紡がれるクリスティーヌとファントムの物語は、オペラの怪人の枠を超え、新しい切り口として面白く感じる人も多いのではないでしょうか。

『オペラ座の怪人』の映画の中では極めて異質なので、見る価値はあると思います。

ただグロさは半端ではないので注意。
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