ふじお

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのふじおのレビュー・感想・評価

4.0
天才的な頭脳を持った下町育ちの若者が周りの力を借りながら自分の生き方を探す話。
持たざるものからしたら天才的な才能があるのであればそれを活かさなければ勿体無いとどうしても考えてしまう。
けれどもし当の本人がそんなことを望んでいないのであれば、気の合う友人との穏やかな暮らしを慈しんでいるのであれば、それを押し付けるのはやはりエゴなのだろうと思う。
しかしこの物語の主人公は自分の才能に振り回されて不幸なわけではなく、
今までの境遇からそれを活かすこと、前を向いて生きることを恐れているだけだった。
それ故に才能にも恋愛にも向き合おうとしない彼の行動がよりもどかしく、食ったような物言いにイライラもするのだけれど、
セラピーの一幕にて過去のトラウマが明かされてからはむしろもどかしく感じた自分が恥ずかしくなった。
天才的な頭脳を持つ若者と、ある種前線を退いている壮年のセラピストの会話がテンポなど含めてとても良く、ただただ2人の会話劇をずっと観ていたいような気にさえなった。
ラストの主人公の決断もとても納得でき観終わった後に爽やかな気持ちになれた。
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