カネコ

ナイト・オン・ザ・プラネットのカネコのレビュー・感想・評価

3.6
前作ミステリー・トレインに続いて今作もオムニバス形式でロサンゼルス・NY・パリ・ローマ・ヘルシンキと5つの都市で同じタイミングでタクシーに乗った乗客とドライバーの群像劇。

この時代のアメリカの街並みは美しいな

車内から景色を眺めると外の音がある程度遮断されるからか1人でタクシーに乗っていると孤独を感じるのだろうか。
ネオンの電飾と空気の乾いた感じがどこかノスタルジックでアメリカの喧騒と遮断された孤独を感じた。
逆にヨーロッパの薄ぼんやりとした街灯の雰囲気も良かった。

時間帯の設定も絶妙で。夜〜夜明けでそれぞれの都市の夜騒がしい時間が終わってその熱気が冷めつつある時間いわゆるchillい時間の空気が真空パックしてあったかのように広がる。

みんな、当たり前のようにノーシートベルト。そして車内でタバコ吸っててゆるくて良いね🚬
私は煙草吸った事無いけど映画の煙草の演出は好き。

ジャームッシュ監督は煙草の煙の表現がポイントになっている。
前作のミステリー・トレインでもそうだしデッドマンでは煙草ないか?ってセリフが何度も出てきた。

5つのエピソードの中で気に入ったのはもちろんウィノナが出ているロスのエピソードも良いんだけどNYとパリが良かった。
NYではタクシーに乗車拒否された男が足元を見るんだけどバッシュ👟と濡れた路面に落ちているゴミ屑とコインがまさにNY 。
西ドイツから亡命してきた片言英語のドライバーと何故か代わりに運転する乗客。めちゃくちゃなんだけど優しい世界。

パリのタクシーは内装がお洒落で全盲のお姉さんイカしてる。
『映画を感じるのよ』のセリフ通り感じる映画だった。

それぞれのタクシーから降りた後1人になった時の表情が印象に残った。

深夜に1人テレビでぼんやり観るのにぴったりな映画。
観終わってテレビを消した後、映画の中のタクシーを降りた乗客の孤独感を追体験している気持ちになる。

ローマのタクシーは乗ると面倒臭いな。
カネコ

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