MrFahrenheit

真夜中のパーティーのMrFahrenheitのレビュー・感想・評価

真夜中のパーティー(1970年製作の映画)
4.5
以前Netflix版を見ており、こちらのオリジナル版を遅れて視聴。オフ・ブロードウェイの舞台をフリードキンが映画化した本作。ストーンウォールの翌年(1970)発表ということで、社会的に相当チャレンジングな作品であったことは当時を知らない私でも想像できる。ネトフリ版でストーリーは知っていたが楽しめた。

内容はほぼワンシチュエーションで完結する会話劇。ゲイの主人公マイケルが自宅にゲイの友人を集め、友人ハロルドの誕生日を祝う中、マイケルの学生時代の”ストレートの友人”アランが予定外に訪れる。皆でマイケルが提案(強制)したゲームをするうち、それぞれが心に抱えた傷が明らかになっていく。内省的でとても重苦しい。

オリジナル版を見て、ネトフリ版のキャストは本作にかなり寄せており絶妙だったことに気づいた。本作のマイケルもネトフリ版のジム・パーソンズもよかった。ハロルドは相変わらず強烈すぎて目が離せない。

ゲイの登場人物で画面が埋め尽くされる中、それぞれのキャラクター毎にリアリティが感じられて感心すると同時に、半世紀経っても変わらないことを見せつけられたようで一抹の切なさを覚える。そこにNetflixがリメイクした意義があるのだと思う。

それぞれの抱える傷が自分のことのようだったり、知人に重なって見えたり、毒づくマイケルが痛々しく息が詰まりそうになるのは、私もゲイだからなのか。異性愛者視点で本作を見るとどう感じるのか、私には分からない。マイケルの背中の哀愁を当事者視点で感じられるのも、ゲイを自認して生きる醍醐味の一つかもしれないと思いつつ、彼ら/私たちが余計な重荷を背負わず生きられる社会を望む。

出演者の約半数がその後のAIDS禍で亡くなっており、作品自体が壮絶な歴史の記録でもある。