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妻は告白するのstanleyk2001のレビュー・感想・評価

妻は告白する(1961年製作の映画)
3.8
『妻は告白する』
1961(昭和36年)
大映

「私はあなたの何なの?毎日あくせく働いている女中なの?論文の清書や研究の整理をする秘書なの?安くて便利な家政婦なの?子供も産めない妻なんて情け無い」

薬学部の教授・滝川亮吉(小沢栄太郎)と妻・彩子(若尾文子)、薬品メーカー社員・幸田(川口浩)が登山に行く。切り立った絶壁を登攀中に先頭だった亮吉が足を滑らせて落ちて幸田→彩子→亮吉という形でザイル一本にぶら下がってしまう。亮吉は一番下で宙吊りになった。亮吉は身体を振りこの様にゆすって崖に取りつこうとするが譲るたびに彩子の身体にザイルが食い込む。一番上で2人の体重を支えている幸田の手から血が流れ出す。

彩子は亮吉がぶら下がっているザイルをナイフで切断。亮吉は落下して死亡した。彼女の行為は自分と幸田が助かるための「緊急避難」だったのか?それとも幸田と彩子は不倫関係にあり邪魔になった夫の亮吉を殺害したのか?法廷で真実は明らかになるのか?

センセーショナルな題材、題名、いかにも活動屋・永田雅一の企画する大映らしい作品。でも昭和36年芸術祭参加作品を謳っている。

法廷のセットがとても狭い。証言席と検事席、傍聴席の間の距離がとても近い。だから一つの画面の中に被告や証人や検事が収まって画面の圧が高い。

薬学部の学生だった彩子が、栄養失調で倒れた彼女をレイプする亮吉。生活の苦しさから妻となる事を受け入れる彩子。夫婦は最初から支配者と被支配者の関係だった。

仕事で夫婦の家に出入りする幸田に彩子は好意を持つ。幸田には婚約者(馬渕晴子)がいて彩子に対しては同情はしても愛情は持っていないはずだったが、、、

法廷と回想場面が三人の関係を描き出していく。最後に現れた真実が切ない。

若尾文子さんの色香が凄い。セクシーでなおかつ演技派。マリリン・モンローがなりたかった女優の理想型かもしれないと思った。

馬渕晴子さんの硬質な美しさも光る。
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