椿本力三郎

パルプ・フィクションの椿本力三郎のレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.7
およそ25年ぶりに名画座で。

私が最初に見たとき、この作品の主な登場人物は
すべて自分より年上で、25年ぶりに見たら自分よりも年下でした。
昔はお洒落な大人の映画に見えたのですが、今見ると単に「クズ」の映画なのですよね。冒頭のパンプキンとハニー・バニーの会話からもう極上の「クズ」感でした。

この作品で最も有名なジョン・トラボルタとユマ・サーマンのツイストのシーンですが、あれって、命がけで踊らされているシーンなのですね。そこで必死になって踊るトラボルタの悲哀を感じました。ブルース・ウィルスも同様に命を狙われて逃げて逃げて逃げまくる。パンプキンとハニー・バニーは、もうとっくに人生が詰んでいる。

背後から銃口を突きつけられている中で必死に生きて行こうとするような姿勢はタランティーノが愛したサムライやジャパニーズギャング映画に通じるものがある。ひたすら美しい、クズの映画。

北野武の「ソナチネ」とかのヒリヒリした緊張感にも通じるものを感じました。古典的な映画や小説は時間をおいて何度も戻ってくるべきものですね。