イチロヲ

プルガサリ 伝説の大怪獣のイチロヲのレビュー・感想・評価

プルガサリ 伝説の大怪獣(1985年製作の映画)
3.5
権力者による圧政に耐え兼ねた鍛冶職人が、自分の命と引き換えに怪獣プルガサリを誕生させる。金正日が製作総指揮を執っている、北朝鮮謹製の特撮映画。製作にあたり、東宝の特撮班が現地に招聘されている。

北朝鮮の伝承がベースとのことだが、その内容は日本の「大魔神」と大同小異。貧困層の革命的行為に大怪獣が呼応するという、勧善懲悪、因果応報のドラマ展開になっている。大規模なエキストラ撮影と様々な戦術を駆使した合戦シーンが見応え満点。

プルガサリを演じているのは、東宝のスーツアクター・薩摩剣八郎。鉄をガジガジとかじる動作が可愛らしく、王宮セットに対する破壊の美学もきちんと伝わってくる。カット数は少ないが、屋根瓦が「ガッシャーン!」となるだけでエキサイト必至。

脱力系のシンセサウンドと効果音が珍妙なフレーバーを散らしており、ヒロインの「プルガサリヤァ~」が萌えボイスとなって脳裏に焼き付く。薩摩健八郎・著「ゴジラが見た北朝鮮」を読むと、考究が深まること請け合い。
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